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「紙一重〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

紙一重の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
いなければならぬ清逸にとっては、屋外の寒さもそう気にならなかったが、とにかく冬が紙一重に逼《せま》ってきた山間の空気は針を刺すように身にこたえた。彼は首をすくめ....
青春の逆説」より 著者:織田作之助
が礼儀だ)と、思いながら、やっと二階への階段をあがって行った。 その気の弱さと紙一重の裏あわせになっている豹一の気持から推して、普通なら、黙ってしまうところだ....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
の身体が自由でさえあればと、余は心の中で地団駄踏むほどに悶くけれど仕方がない、只紙一重を隔てられて何うしても其の紙を破る事の出来ぬ様な気がする、実に情けない、お....
河明り」より 著者:岡本かの子
は様子に現わさなかった。 こうして親しげに話していて、隣に座っている娘と、何か紙一重|距てたような、妙な心の触れ合いのまま、食後の馥郁とした香煎の湯を飲み終え....
ヒルミ夫人の冷蔵鞄」より 著者:海野十三
生み混乱の波紋は日を追うて大きく拡がっていった。 そしてとうとう最後には、もう紙一重でヒルミ夫人の脳が狂うか否かというところまで押しつめられた。 夫人は、灯....
氷河」より 著者:黒島伝治
要なことを忘れてきたようで、焦点のきまらない方に注意を奪われがちだった。すべてが紙一重を距てた向うで行われているような気がした。顛覆した列車の窓からとび出た時の....
帝銀事件を論ず」より 著者:坂口安吾
、四囲の現実だけだ。 四囲の現実とはなにか、まず焼け野原である。小さな家屋の唐紙一重にへだてられた雑居生活である。そこでは一本の薪、一片の炭が隣人にかすめ盗ら....
次郎物語」より 著者:下村湖人
がなかったし、日本でせっかく芽を出しかけている政治革新運動に対しても、共産主義と紙一重だなんて言って非難していられたんだ。第一、先生には、日本の東亞における使命....
この握りめし」より 著者:岸田国士
顔が……。よだれ垂らさんのが不思議さね」 「大賢は大愚に似たりか。天才は気狂いと紙一重なんだよ、信濃屋さん」 「そうかも知れん。しかし、今日の経済事情はですよ、....
あるニュウ・フェイスへの手紙」より 著者:岸田国士
強要されている場合がなくはない。強要された流露感とはいったいどんなものでしょう。紙一重どころの差ではありますまい。 煎じつめれば、どんな脚本とでも、楽々と取り....
フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
。美しいだって! なんということだ! 黄いろい皮膚は、下の筋肉や動脈のはたらきを紙一重で蔽っていたし、髪の毛は艶やかに黒くてふさふさしており、歯は真珠色がかった....
安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
しくなかった心境がさこそと察せられるのである。 暴徒と、この記者のユーモアとは紙一重の差で、たった一枚の紙の差によって、ウラミ骨髄に徹する如くであっても、同時....
明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
にして名をなした独裁者のような偉大な成り上り者は概ね天才的な人物であるから狂人と紙一重の危険人物と考えてよろしいかと思う。 したがって、彼なくしては為しがたか....
審判」より 著者:カフカフランツ
すぐ決心することはなさらぬようにとさえ、おすすめしたのですからね。長所と短所とが紙一重なんです。万事詳しく見積ってみなければなりません。もちろんあまり時間を失う....