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紙屋
「紙屋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
紙屋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ひょっとこ」より 著者:芥川竜之介
平吉の口から出た話によると、彼は十一の年に南伝馬町《みなみでんまちょう》の
紙屋へ奉公に行った。するとそこの旦那《だんな》は大の法華《ほっけ》気違いで、三度....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
まかげ》から、風当りの強い河原《かわら》へ出た。
「おい、後《うしろ》を見ろ。」
紙屋だったと云う田口《たぐち》一等卒《いっとうそつ》は、同じ中隊から選抜された、....
「或る女」より 著者:有島武郎
子は初めてのようにあたりを見た。そこには紺暖簾《こんのれん》を所せまくかけ渡した
紙屋の小店があった。葉子は取りあえずそこにはいって、人目を避けながら顔を洗わして....
「妖術」より 著者:泉鏡花
斜めに、ちょっと隠れた状に、一帆の方へ蛇目傘ながら細りした背を見せて、そこの絵草
紙屋の店を覗めた。けばけばしく彩った種々の千代紙が、染むがごとく雨に縺れて、中で....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
そうか――そこの中ほどに、さきが古道具屋と、手前が桐油菅笠屋の間に、ちょっとした
紙屋があるね。雑貨も商っている……あれは何と言う家だい。」 「白粉や香水も売って....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
すように降って来ました。ひょろひょろの小僧は、叩きつけられたように、向う側の絵草
紙屋の軒前へ駆込んだんです。濡れるのを厭いはしません。吹倒されるのが可恐かったの....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
き初めて、長閑に春めく蝶々|簪、娘たちの宵出の姿。酸漿屋の店から灯が点れて、絵草
紙屋、小間物|店の、夜の錦に、紅を織り込む賑となった。 が、引続いた火沙汰のた....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
でも花火を焚くようなもので、その途端に光輝天に燦爛するじゃ。すでにこないだも東の
紙屋の若い奴が、桜木町である女と出来合って、意気事を極めるちゅうから、癪に障って....
「牛」より 著者:岡本綺堂
雛という芸者だ。なんでも明けて廿一とかいう話だったが、この芸者は京橋の福井という
紙屋の旦那と亀戸の初卯詣に出かける筈で、土地の松屋という船宿から船に乗って、今や....
「あのころ」より 著者:上村松園
さったこともあります。その印は今でも大事に遺してあります。 絵草
紙屋 私は絵の中でも人物画が好きで、小さいころから人物ばかり描いていました。 ....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
包であった。 今こそ人形町の裏通に母親と自分と二人ぐらし、柳屋という小さな絵草
紙屋をしているけれども、父が存生の頃は、隅田川を前に控え、洲崎の海を後に抱き、富....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
、大旦那がお亡くなんなすったあとで、御新姐さんと今のお嬢さんとお二人、小体に絵草
紙屋をしておいでなすった。そこでもお前火災にお逢いなすったんだろうじゃないか。 ....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
ったが、喜兵衛は更に袋の新らしい工風をした。その頃は何に由らず彩色人の摺物は絵双
紙屋組合に加入しなければ作れなかったもので、喜兵衛はこれがために組合へ加入して、....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
私より十下のばあさんである。大正末に大阪の天下茶屋で世帯を持ったのだが、島之内の
紙屋の娘で、前に書いたお雪を知るより前、妻が七つぐらいのときから知っている仲だ。....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
論日清役の事を覚えていない。しかし北清事変の時には太平という広小路(両国)の絵草
紙屋へ行き、石版刷の戦争の絵を時々一枚ずつ買ったものである。それ等の絵には義和団....