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紙背
「紙背〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
紙背の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
る通り英姿颯爽、温容を以て人に接し、辞令企まずして巧で、加うるに頭脳明晰眼光よく
紙背に徹する明のある人だったが、刑事裁判に長たることはこの支倉事件を以て始めとし....
「一歩前進二歩退却」より 著者:太宰治
チエホフの顔を意識している。この鑑賞の仕方は、頭のよさであり、鋭さである。眼力、
紙背を貫くというのだから、たいへんである。いい気なものである。鋭さとか、青白さと....
「思想と風俗」より 著者:戸坂潤
は限らないので、教養に於ける関心・意欲・思想・の体系の働きだと考えてもいい。眼光
紙背に徹するのも判りの良さも、共感の大きな能力も、理知的な自信も、皆ここから来る....
「渋谷家の始祖」より 著者:宮本百合子
も、正隆にとって、二百枚の紙は、決してそれほど軽く見られるものではなかった。その
紙背に、あらゆる彼の希望が懸っていた。父の持つ本能的な愛、良人の持つ無自覚な妻へ....
「備忘録」より 著者:寺田寅彦
然の権利ででもあるかのようにきわめて事務的に記載している。この事務的散文的記事の
紙背には涙がある。 頭が変になって「サアタマランサアタマラン」「ドーシヨウドー....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
四郎義利の文字から読みはじめて、門弟席の第一、比留間、桜井、その次の白紙の主を、
紙背に徹《とお》るという眼光で見つめていたが、突然、 「ははあ、なるほど」 小....
「作家の経験」より 著者:宮本百合子
に。文学のそとの世界でも、東洋人は「眼」という字を意味ふかく扱ってきている。眼光
紙背に徹すとか、心眼とか。あなたの眼力には恐れいったと叩頭《こうとう》するとき、....
「田舎」より 著者:プレヴォーマルセル
ように思われた。 すべて女の手紙を読むには、行の間を読まなくてはならない。眼光
紙背に徹せなくてはならない。ピエエル・オオビュルナンは得意の作の中にこう書いた事....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
かした通り、ナポレオンについても彼が帝位につくに至った勢いについての評価は決して
紙背に徹してはいません。 掛蒲団は「暖かそう」とあるのでホッとしました。随分四....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
、十方八方へ心動きながら、一所へは、瞬時も止まり居坐らぬ心の持ち主じゃ。眼光は、
紙背に徹するぞよ! ……嘘と思わば証拠を挙げようぞ。……汝、今、紙帳より一間の距....
「誘拐者」より 著者:山下利三郎
手が如何に惨虐苛酷であるかは覚悟してもらわねばならぬ。 音羽組 兇悪なる毒手が
紙背に潜むが如き、凄い文句であった、善兵衛は各若い者に自身も混って、停車場や郊外....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
…イヤ、お綱さんだったのに違いない。まア待ちねえ。もッと先を読んでみるから……」
紙背を透すような眼ざしで、万吉が、その手紙、またほかの四、五通、残らず読んでみた....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
素材の史糸はどこまで史家の糸で織って行きたいと思うし、またすこしでも往時の実際を
紙背に読む読者の試案にもなろうかと、折にふれお目にかけているにすぎない次第である....
「死児を産む」より 著者:葛西善蔵
筆の力をもって私ども罪に泣く同胞のために少しでも捧げたいと思っております――何卒
紙背の微意を御了解くださるように念じあげます云々―― 終日床の中にいて、ようよ....
「戦争ジャーナリスト論」より 著者:戸坂潤
なるものは書けない。尤も一人二人の従軍記者は儀礼的な描写のあい間あい間にも、多少
紙背に躍る或るものを読み取らせるので、読者のわずかな楽しみではあるが、それを一生....