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紙衣
「紙衣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
紙衣の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
ぞ見物衆をあっといわせることだろうと、夢中になっての高話じゃ。 長十郎 藤十郎の
紙衣姿《かみこすがた》も、毎年見ると、少しは堪能し過ぎると、悪口をいいくさった公....
「新釈諸国噺」より 著者:太宰治
使いを受けて、今宵だけでも大みそかの火宅からのがれる事が出来ると地獄で仏の思い、
紙衣の皺をのばして、傘は無いか、足袋は無いか、押入れに首をつっ込んで、がらくたを....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
やに思わせぶりっていうわけで、有難いような、嬉しいような――百貫めの借銭負うて、
紙衣《かみこ》着た伊左衛門じゃないが、昔をいやに思いださせるね。尤《もっと》も伊....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
知りつくし、男という男にあきはててみると、かえって、こういう、卒塔婆《そとば》が
紙衣《かみこ》を着てまよい出たような、人間三|分《ぶ》に化け物七|分《ぶ》が、た....
「大正女流俳句の近代的特色」より 著者:杉田久女
を描き出している。 お手打の夫婦なりしを衣更 蕪村 あるほどの伊達しつくして
紙衣かな 園女 など、昔の戯曲的な中にも太平のゆとりある句に比較して、著しい....
「わが寄席青春録」より 著者:正岡容
れを激しい屈辱感とともに肩先へ蘇らすことができる。なるほど、その時の私はさびしい
紙衣《かみこ》姿であったろうが、それは家庭のこと、妓のこと、精神的不如意のための....
「藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
傾城買の狂言と言えば、何時もながら惜し気もない喝采を送っていた。彼が、伊左衛門の
紙衣姿になりさえすれば、見物はたわいもなく喝采した。少しでも客足が薄くなると、彼....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
る衾のかわりに、それへ備えてあるのは、これもどこかで拾って来たものらしい、破れた
紙衣蚊帳。 「じゃあ、お先に」 「さあ、さあ、なにも心配しないがいいぞよ」 「…....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
ゃいましたが、一つも世に残そうなんていうおつもりはなかったようで、反古はそばから
紙衣や何かに使ってしまい、残っている物といえば、旧の草庵の壁やら襖紙に貼った古反....