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紙魚
「紙魚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
紙魚の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ある心の風景」より 著者:梶井基次郎
味悪い肉が内部から覗《のぞ》いていた。またある痕は、細長く深く切れ込み、古い本が
紙魚《しみ》に食い貫《ぬ》かれたあとのようになっている。 変な感じで、足を見て....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
とら》われて終《しま》うのもうるさい。考証家、穿鑿《せんさく》家、古文書いじり、
紙魚《しみ》の化物と続西遊記に罵《ののし》られているような然様《そう》いう者の真....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
、雨戸へ耳を押しあてた。 「どうやらここは図書庫らしい。人の気勢が感じられない。
紙魚《しみ》くさい匂いばかりが匂って来る」すなわち六感で感じたのだろう。「さあさ....
「怪しの館」より 著者:国枝史郎
は侍ではございますが、仕官もいたさず浪人者で、それに性来書籍が好きで、終日終夜|
紙魚のように、文字ばかりに食いついております次第、隠居ぐらし、隠遁生活、それこそ....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
。つまり、事件の解決は、あの大古典の伝奇的なつながりの中にあるのだ。ああ支倉君、
紙魚に蝕ばまれた文字の跡を補って、トリエステで口火が始まる、大伝奇を完成させよう....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
馬の尻尾《しっぽ》 「はて、いい天気だの」
紙魚《しみ》くいだらけの古帳面を、部屋いっぱいにとりちらしたなかで、乾割《ひわ》....
「巷説享保図絵」より 著者:林不忘
うは、すぐ行くというわけには参らぬのだ。友だちが来ることになっているでな。あの、
紙魚亭《しぎょてい》の主人じゃ」
「麦田一八郎《むぎたいっぱちろう》さま。存じて....
「京鹿子娘道成寺」より 著者:酒井嘉七
文字が、遠慮がちに、小さく記されている。 書の全体は、甚だしく、変色し、処々は
紙魚にさえ食まれている。従って、相当の年代を経たものと観察される。が、この一点に....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
百にも為切ってある棚の物が
己の周囲を隘めているのも、これも塵ではないか。
この
紙魚の世界で、己を窮屈がらせている
器具、千差万別の無用の骨董も塵ではないか。
....
「三国志」より 著者:吉川英治
だ。もし、自分が帝位に即かなければかえって天道に反く。――貴さまの如き者は書物の
紙魚と共に日なたで欠伸でもしておればよろしい。退れっ」 袁術は、臣下の中から、....