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紛
「紛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
紛の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カルメン」より 著者:芥川竜之介
ど僕等の正面に当る向う側のボックスへはいって来た。しかも彼等のまっ先に立ったのは
紛《まぎ》れもないイイナ・ブルスカアヤである。イイナはボックスの一番前に坐り、孔....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
《はげ》しかった。彼は時々|唸《うな》り声《ごえ》を挙げ、僅《わず》かに苦しみを
紛《まぎ》らせていた。しかし彼を悩ませたものは必しも肉体的苦痛ばかりではなかった....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
つない私自身を、春寒く思う事も度々あった。
もっとも午後は時折来る訪問客に気が
紛《まぎ》れて、さほど寂しいとは思わなかった。が、やがて竹の筒《つつ》を台にした....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
に、こう云う若殿様の御言葉が、御聞きに達する事でもございますと、上べは苦笑いに御
紛《おまぎら》わしなすっても、御心中の御怒りはありありと御顔に読まれました。現に....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
らめなければならぬ。
「明日《あす》よ、ではさようなら」である。
保吉は憂鬱を
紛《まぎ》らせるために巻煙草《まきたばこ》を一本|啣《くわ》えようとした。が、手....
「影」より 著者:芥川竜之介
に、どんよりした赤味を加え始めた。と同時に大きな蠅《はえ》が一匹、どこからここへ
紛《まぎ》れこんだか、鈍《にぶ》い羽音《はおと》を立てながら、ぼんやり頬杖《ほお....
「河童」より 著者:芥川竜之介
禁止」という声です。僕はこの声にびっくりし、思わず後ろをふり返りました。声の主は
紛れもない、一番後ろの席にいる身《み》の丈《たけ》抜群の巡査です、巡査は僕がふり....
「彼 第二」より 著者:芥川竜之介
》とも言わなかった。僕は後悔《こうかい》に近いものを感じた。のみならず気まずさを
紛《まぎ》らすために何か言わなければならぬことも感じた。
「じゃどこに住みたいん....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
外へ出た。侍はすぐに編笠をかぶったが、ちらりと見た顔貌《かおかたち》は瀬沼兵衛に
紛《まぎ》れなかった。左近は一瞬間ためらった。ここに求馬が居合せないのは、返えす....
「女」より 著者:芥川竜之介
鳴らしながら、無二無三に敵を刺《さ》そうとした。花粉はその翅に煽《あお》られて、
紛々と日の光に舞い上った。が、蜘蛛はどうしても、噛みついた口を離さなかった。
....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
う事です。」
これを聞くと本間さんは、急に笑いがこみ上げて来た。そこでその笑を
紛《まぎら》せるために新しいM・C・Cへ火をつけながら、強《し》いて真面目《まじ....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
している。
政治家
政治家の我我素人よりも政治上の知識を誇り得るのは
紛紛たる事実の知識だけである。畢竟某党の某首領はどう言う帽子をかぶっているかと言....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
せながら、じっと壁上の画を眺めました。
この雲煙邱壑《うんえんきゅうがく》は、
紛《まぎ》れもない黄一峯《こういっぽう》です、癡翁《ちおう》を除いては何人《なん....
「初雪」より 著者:秋田滋
出した。これがたッぷり一月かかった。何となく物足りない気はしたが、それでも仕事に
紛れて、日が一日一日とたって行った。彼女は生活上の別に取り立てて云うほどのことも....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
し、四月の復活祭にも行った。海の風を吸いに行くのである。 しかしちょっと、気を
紛らそうという時には、旅行しないで、アイバンホーや巌窟王を読んだり、有名なキーツ....