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紛らわしい
「紛らわしい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
紛らわしいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「勝敗」より 著者:渡辺温
名宛で別荘へ遅れる旨の電報を打った。決してアリバイにはならないけれども、稍それに
紛らわしい効果を持たないでもない。そして翌日になって幸子変死の電報に接して倉皇と....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
用を保証するためには権威のある印鑑を造って、それを道中宿々にも助郷加宿にも送り、
紛らわしいものもあらば押え置いて早速注進せよというほどに苦心した。いかんせん、百....
「思想と風俗」より 著者:戸坂潤
文学というような文献学と同じ名前に満足するのだろう。処でこういう文献学位い教養と
紛らわしいものはない。なる程古典的文献に習熟していなければ、文化の歴史的発展が頭....
「煩悩秘文書」より 著者:林不忘
来たか。こいつをここに追いつめておる。お前は横から廻って、二人で斬り伏せよう。」
紛らわしいのを幸い、こう佐吉をごまかして、味方に引き入れようとする。その声も伴大....
「日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
意を持っているからに過ぎない。――なぜ併しこうしたヨーロッパのファシズム哲学にも
紛らわしいものによってさえ理解されねばならぬ「合作運動」が、そんなに気に入るのか....
「現代唯物論講話」より 著者:戸坂潤
夫は云わば一種の高次の世界直観と云う外あるまい。だが高次の直観という概念は確かに
紛らわしいだろう。実際夫は一方に於て、もはや原始的な形態の直接態の世界観ではなく....
「思想としての文学」より 著者:戸坂潤
錯覚に由来するのであり、従ってここから来た自由の呼吸(それを彼等は自由主義という
紛らわしい言葉で云い表わそうとする)も亦、つまり錯覚に他ならなかったのだが、この....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
入り来るところの人は小町でありました。最初の印象の壇の上の、しょうづかの婆さんに
紛らわしい関寺小町《せきでらこまち》が、壇の上から徐《おもむ》ろに下りて来ました....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
鬚のない顔に長い睫毛、頭髪をうしろに垂らすか、結い上げるかしているから、なるほど
紛らわしいわけだ。そして、その家である。セイロン島の住宅は、すべて往来へ向って開....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
は、一見恋愛と同じ外観を備えるようになりました。その結果、この二つは、事実非常に
紛らわしいために、現代人は、両方を一緒にしたり、本能の処理を恋愛と思い込んだりし....
「源氏物語」より 著者:紫式部
るし、多くの人が顔を見るのでないからいいのであるがとお思いになった。しかし素姓の
紛らわしいことは男の身にあってもよいが、どんな高貴な方の母になるかもしれぬ女性は....
「ヤトラカン・サミ博士の椅子」より 著者:牧逸馬
のです・うんぬん」 ヤトラカン・サミ博士は、この、売占乞食《うらないこじき》に
紛らわしい風体《いでたち》でもう、何年となく、せいろん島コロンボ市の、ことにマカ....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
武蔵は足を止めた。 ――だが、よく見ると、その門に書いてあるのは、甚だ宝蔵院と
紛らわしい名で「奥蔵院」としてあるのである。頭字が一つ違っている。 それに山門....
「春雪の出羽路の三日」より 著者:喜田貞吉
いうので、その役の名を駅に取ったのだという。ただ「役」と「駅」と、音通のところが
紛らわしい。 駅から役の最後の遺蹟たる金沢柵址まで約一里。その間に一群の丘陵が....
「思想動員論」より 著者:戸坂潤
て之が思想統制なるものの最初の段階である。以てこの場合の統制という言葉が、如何に
紛らわしいものであるかを知るに足りよう。慈(イツク)しむということは厳(イツク)....