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紛る
「紛る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
紛るの前後の文節・文章を表示しています。該当する7件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
落ちつきかね、われ知らず溜息をつく。 「おとよさん」 一こえきわめて幽かながら
紛るべくもあらぬその人である。同時に枝折戸は押された。省作は俄かに寒けだってわな....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
ったけれども、ものの薫に形あって仄に幻かと見ゆるばかり、雲も雪も紫も偏に夜の色に
紛るるのみ。 殆ど絶望して倒れようとした時、思い懸けず見ると、肩を並べて斉しく....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
。 黄昏や、早や黄昏は森の中からその色を浴びせかけて、滝を蔽える下道を、黒白に
紛るる女の姿、縁の糸に引寄せられけむ、裾も袂も鬢の毛も、夕の風に漂う風情。 ....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
人にあらねばこの世の真の価値は知るべからず。」 「気の欝したる時は外出せば少しは
紛るる事もあるべしと思へどもわざと引籠りて求めて煩悶するがかへつて心地よきやうに....
「活人形」より 著者:泉鏡花
かすまでのことだ。して見せる事があるわい。というは平常の折檻ぞとお藤は手足を縮め
紛る。得三は腕まくりして老婆を見返り、「お録、一番責めなきゃ埒が明くめえ。お客の....
「秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
つ一つの山を区別することは不可能であった。横手・白根・本白根・四阿・浅間の諸山は
紛る可くもない。四阿山を中にして右には槍ヶ岳、左には穂高山が遥の天際に剣戟を連ね....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
いる山稜の峰頭に遮ぎられて、纔に額を覗かせているに止まるが、儼乎たる特有の山貌は
紛る可くもない。二羽の大鷲が劒岳の蒼空に悠々と輪を画いて舞っている。 いつの間....