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「紛紜〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

紛紜の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
路上」より 著者:芥川竜之介
半切《はんきれ》を埋《うず》めているものは、多分父親の三回忌に関係した、家事上の紛紜《ふんうん》か何かだろうと云う、朧《おぼろ》げな予期を持っていた。ところがい....
あらくれ」より 著者:徳田秋声
は、使い道の分明《はっきり》しないような金のことについて、昼頃からおとらとの間に紛紜《いざこざ》を惹起《ひきおこ》していた。長いあいだ不問に附して来た、青柳への....
外科室」より 著者:泉鏡花
者がこれを聞ける胸中いかん。この言《ことば》をしてもし平生にあらしめば必ず一条の紛紜《ふんぬん》を惹《ひ》き起こすに相違なきも、病者に対して看護の地位に立てる者....
街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
婚 その次に矢張り十三年度の三四月を区切って急に殖《ふ》えて来たのは、取引上の紛紜《いざこざ》、喧嘩の後始末、夫婦喧嘩の尻拭いなぞである。このような傾向になっ....
春の潮」より 著者:伊藤左千夫
って飛ぶは何のためか。心|長閑にこの春光に向かわば、詩人ならざるもしばらく世俗の紛紜を忘れうべきを、春愁堪え難き身のおとよは、とても春光を楽しむの人ではない。 ....
名人長二」より 著者:三遊亭円朝
を幸兵衛に告げましたので、幸兵衛が立腹いたして、身分が身分でございますから、後で紛紜の起らないように、出入留の手切金を夫婦で持ってまいったもんですから、此の事が....
縮図」より 著者:徳田秋声
自分に適したところとは思えず、この商売にも好感はもてなかったが、ひところの家庭の紛紜で心の痛手を負った時、彼女のところへやって来ると、別に甘い言葉で慰めることは....
足迹」より 著者:徳田秋声
込の自分の弟のところに母子厄介になっている親爺の添合いや子供のことから、時々起る紛紜が、その折も二人の間に起っていた。お庄が四ツ谷へ行ッったきり帰らなかったこと....
」より 著者:徳田秋声
もう涼気の立ちはじめるころであった。 それまでにも、お増とお今との間には時々の紛紜が絶えなかった。お今はどうかすると、小蔭で自分の荷物などを取り纏めて、腹立ち....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
の心の浅ましさがわからない。けれども要するに、自分の身の廻りの言わん方なき苦しき紛紜《ふんうん》は、一《いつ》にお浜の心から来ていると、思えば思えるのである。人....
連環記」より 著者:幸田露伴
候したが、中にも保胤は師として遇したもうたのであった。しかし保胤は夙くより人間の紛紜にのみ心は傾かないで、当時の風とは言え、出世間の清寂の思に※わたり済むと、お....
雪たたき」より 著者:幸田露伴
故を防いで安寧を得せしむる必要上から、警察官的権能をもそれに持たせた。民事訴訟の紛紜、及び余り重大では無い、武士と武士との間に起ったので無い刑事の裁断の権能をも....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
《げっこう》を強めた一事があったことをちょっと言っておかなければならない。家庭の紛紜《ふんうん》を複雑にするそれらのこまかな不祥事が常にあるもので、たとい根本に....
塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
もしたくねえから、五両の金を上げべえから、草鞋銭と思って、これで帰るならば、最う紛紜はなしに娘を返したという書付を一本置いていって下さい」 小「お前さん、そんな....
五重塔」より 著者:幸田露伴
たる七十有余の老和尚、骨は俗界の葷羶を避くるによって鶴のごとくに痩せ、眼は人世の紛紜に厭きて半ば睡れるがごとく、もとより壊空の理を諦して意欲の火炎を胸に揚げらる....