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紛雑
「紛雑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
紛雑の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「不尽の高根」より 著者:小島烏水
層美を示すところもあるが、多くは手もつけられないほど、砂礫や灰を放擲したようで、
紛雑を極めている。その石も巨大なるブッ欠きや、角の取れない切石や、石炭のかすのよ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
興味を持っている。何かと得るところも甚《はなは》だ多いのです――第一、夜は静かで
紛雑の気分を一掃する。それに思わぬ事件や、思わぬ人物に出会《でくわ》して、何かの....
「今戸心中」より 著者:広津柳浪
ますね」と、吉里も笑いかけた。 「戯言《じょうだん》は戯言だが、さッきから大分|
紛雑《もめ》てるじゃアないか。あんまり疳癪を発《おこ》さないがいいよ」 「だッて....
「十一谷義三郎を語る」より 著者:豊島与志雄
かったらしい。なお、或る婦人記者と非常に懇意になっていたし、過去に或る婦人関係の
紛雑もありはしたが、私の知ってる限り、それも大したものではなかった。そして当時十....
「田舎医師の子」より 著者:相馬泰三
てそれぞれ適当な説明を附けて行った。 「むやみに快楽を追おうとする所にいっさいの
紛雑が生ずるのだ。苛れば苛るほど、藻掻けば藻掻くほどすべてが粗笨に傾き、ますます....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
は武者奮闘の戦場を描き美麗なる甲冑《かっちゅう》槍剣《そうけん》旌旗《せいき》の
紛雑を極写《きょくしゃ》して人目を眩惑《げんわく》せしめぬ。国芳の武老絵は古来|....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
、一日に非ざりしも、南船北馬暖席に暇なく、かつ二雪霜の間に集積せるところは、尨然
紛雑し容易に整頓すべからずして、自ら慚愧せざるを得ざるものあり。日ごろ旅行談の完....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
多少欲を殺し逃避的の性質のあるものには誰でも出来るのであります。これと反対に、
紛雑極まりない現実の真直中に分け入り無私と慈悲を行い、和恭勤勉を保って行くという....
「無宿人国記」より 著者:吉川英治
――また、ひと群れが、庭木戸から、押しもどって、どっと、雪が、まっ黒になるほど、
紛雑する。 「丈八……俺を……丈八……俺を……」 そこを、斬り破って、刀を杖に....
「脚」より 著者:吉川英治
て俺は」 発作的に、彦太は、帳場の中から突っ立ったりする事があった。だが、この
紛雑した世相のどこへ一体自分を投げこんだら正しいのか、彦太には、見当がつかない。....