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素っ気
「素っ気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
素っ気の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
ます。あなたも御遠慮なくお休みなすって下さい。」
甲野は妙に玄鶴を見つめ、こう
素っ気ない返事をした。
「いえ、わたくしは起きております。これがわたくしの勤めで....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
くらしい容子《ようす》もなく、じっとその小屋を見守りながら、
「そうです。」と、
素っ気なく答える声を聞きますと、愈太刀《いよいよたち》へ血をあやす時が来たと云う....
「三つの窓」より 著者:芥川竜之介
もこの水々しいセロリイの葉を眺めたまま、やはり巻煙草ばかりふかしていた。こう云う
素っ気ないY中尉に不思議にも親しみを感じながら。……… 2 三人 一....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
、十数日間にわたって無言のまま続いた。私は、同棲者になんの関心も示さない、こんな
素っ気ない男をいまだにみたことはない。 さて、もう鉛筆もほとんど尽きようとして....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
直って部屋の中を見た。友達のフェルナンドが設計して呉れたモダニズムの室内装飾具は
素っ気ないマホガニーの荒削りの木地と白真鍮の鋭い角が漂う闇に知らん顔をして冷淡そ....
「博物誌」より 著者:岸田国士
は、しょっちゅう家畜どもにからだをこすりつけられて、てらてら光っている。 彼は
素っ気なく釣糸を投げこみ、それをまた悠々と引き上げる。 新しく場所を変えるたび....
「銀三十枚」より 著者:国枝史郎
郎は美術家ではいらっしゃいませんか?」 紳士が卒然話しかけた。 「いえ」と私は
素っ気なく云った。 私は私の趣味として、商売のことを訊かれるのと、年齢のことを....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
それらのものが、今は一つも見られない。ガランとした灰色のだだっぴろい部屋が、味も
素っ気もなく広がっていた。そうして天井から飾り燈火が、明るい光を投げていた。その....
「オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
は、二た月ほどまえ家族と別れた――その直後だろうと思うのだがね」 法水は一向に
素っ気ない声で云った。 「それには、九十郎の驚くべき特徴を、知る事が出来たからな....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
あろうと、お断わりすることになってますんで」 若衆であろう潜戸の向こうで、こう
素っ気なく挨拶をした。 「親分あれをお聞きですか、お馴染様であろうとご一現様であ....
「たぬき汁」より 著者:佐藤垢石
放り込み、つぶさに奥歯と舌端で耽味したのであったが、これはまたほんとうに何の味も
素っ気もないものであった。だし汁を取るとき、煮だした鶏骨に僅かにしがみついている....
「赤げっと 支那あちこち」より 著者:国枝史郎
う迄熱心に君達は君達の可愛らしい肉体をお買いなさいよと推薦をしているのに、僕達が
素っ気なく遠慮するのだからね。が、ピヨピヨの野鶏諸嬢よ、実は僕達は――少くも僕は....
「審判」より 著者:カフカフランツ
ナーさんはおりますか?」 「いらっしゃいません」と、グルゥバッハ夫人は言い、この
素っ気ない返事に気づいて、おくればせながら物のわかったような気持をこめて、微笑ん....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
にしても、苦労のしくずれということがあります。すっかり苦労に負けてしまって、味も
素っ気もなくなってしまい、狡くなり、卑屈になってしまうのがあります。これはどうし....
「はつ恋」より 著者:神西清
いい、パパ?」と、わたしは父に訊いた。 「いいや」と父は答えた。その顔には、例の
素っ気ない愛想のいい表情が浮んだ。――「乗りたけりゃ、一人でお行き。そして、わた....