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「素振り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

素振りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
たちの喧嘩《けんか》も不快ではなかった。彼女は玄鶴にはお芳親子に同情のあるらしい素振りを示した。同時に又お鳥にはお芳親子に悪意のあるらしい素振りを示した。それは....
野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
ては、人に顔を見られる様な気がして大いに極りが悪い。義理にも進んで行きたがる様な素振りは出来ない。僕は朝飯前は書室を出ない。民子も何か愚図愚図して支度もせぬ様子....
生きている腸」より 著者:海野十三
がテーブルの上から彼の方にのびあがって、 「もっと砂糖水をくれ」 というような素振りを示すのであった。 「あはあ、もっと砂糖水がほしいのか。あげるよ。だが、も....
深夜の市長」より 著者:海野十三
った。僕は卓子の前から、ずいぶん長い尻を上げた。 僕はなんとなく脱獄囚のような素振りになるのを自分でも苦笑しながら、密かに夜の城東の一廓に紛れこんだ。幸いに尾....
幽霊妻」より 著者:大阪圭吉
事が持ち上がってしまったのでございます。 ――ところで、いちばん初め、旦那様の素振りに変なところの見えだしましたのは奥様の御葬儀がおすみになりましてから、三日....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
星が春の宵空のように潤った目を開いた。すると魚たちの「性」は、己に堪えないような素振りを魚たちにさせる。艦隊のように魚以上の堂々とした隊列で遊弋し、また闘鶏のよ....
河明り」より 著者:岡本かの子
白目にその曇りを撥いては消え、また撥く微点を認めた。霙が降っているのだ。娘も私の素振りに気がついて、私と同じように天井硝子を見上げた。 合図があって、私たちは....
雛妓」より 著者:岡本かの子
―」 読書もそう好きでなし、思索も面倒臭がりやの逸作にどうして、こんないのちの素振りが感じられるものなのだろうか。わたくしはそれにも少し怖れを感じたけれども、....
巴里祭」より 著者:岡本かの子
張り腰にあて誇張した腰の振り方をし、時に相手によってはみだりがましくも感じられる素振りさえ見せて笑った。曲げた帽子の鍔の下からかもじの巻毛の尖きを引っぱりおろし....
褐色の求道」より 著者:岡本かの子
華と、それから開敷蓮華の道印を両手で結んで立ちながら、丁寧に頭を下げた。 私の素振りを横眼でちらりと見たようだった青年は、急に手を解き捨て膝を立ててしまった。....
健康三題」より 著者:岡本かの子
てるという極めてあっさりしたものらしかった。だから、離れ座敷の娘が私に親しみ度い素振りを見せるに気が付いても一向珍らしいことには思わなかった。仕事でも片付いたら....
ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
しい程黙って私に何でも勝手を為せて呉れたわね。それで居て全然私に興味が無いという素振りでも無かったわね。あなたこそ私の妙な慾望に堪えて呉れるただ一人の男だと、私....
とと屋禅譚」より 著者:岡本かの子
はすっかり女にうつつを抜かれた様子で、玄関で草鞋を穿くまで浅間しいまでに未練気な素振りを見せて居る。これに対して女もきぬぎぬの訣れを惜しんでいる。僧はすっかり草....
押しかけ女房」より 著者:伊藤永之介
太郎は小首をかしげてうなずいた。 なるほどそう言えば、いやなのを無理におさえて素振りに出さないという硬い顔つきをしていた初世の、この間の晩の幾度かの場合を思い....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
に、振り切って、わざとよそよそしくするのでございます。まるで面当てがましいような素振りさえするのでございます」 「どんなふうにだね」 「今日のお昼に、わたくしが....