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素純
「素純〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
素純の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
禅道はこれを実際的なものとした 第四章 茶室 茶室は茅屋に過ぎない――茶室の簡
素純潔――茶室の構造における象徴主義――茶室の装飾法――外界のわずらわしさを遠ざ....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
た。 が、持ぬしは、意気沈んで、髯、髪もぶしょうにのび、面は憔悴はしていたが、
素純にして、しかも謹厳なる人物であった。 汽車の進行中に、この出来事が発見され....
「人間繁栄」より 著者:豊島与志雄
た。静子は内気な弱々しい大人びた娘であったが、綾子は溌剌としたなかに危っけのある
素純な娘で、無雑作に束ねてすぐに解けかかりそうな髪恰好と、その下の怜悧そうな広い....
「古井戸」より 著者:豊島与志雄
何と云おうと、構やしないわ。」 何の恥らいの色もなく、じいっと見入ってきたその
素純な眼付の前に、彼は次第に顔を伏せてしまった。と、頭の中がぱっと明るくなった。....
「蓮」より 著者:豊島与志雄
単に花からばかりでなく、葉や実や根などからまでも、仄かに漂い出してくる、あの清い
素純な香もよい。その形、その香、そして泥土と水、凡てに原始的な幽玄な趣きがある。....
「話の屑籠」より 著者:豊島与志雄
い。 「まだ……何ともないわ。」 「今に……苦しくなるよ。」 「そう。」 その
素純な眼付から、男は眼を外らす。その眼を、女は追っかけてくる。 「まだかしら……....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
曲は、次の曲たるラルゲットのために書かれたものであった。そこでクリストフは、熱烈
素純な少女の魂を描いた。それはミンナの肖《すがた》であったし、また肖であるべきだ....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ようともつとめなかった。彼は何ら予言者の趣もまたは魔術師の趣も持たなかった。彼の
素純なる魂はただ愛した、それがすべてであった。
彼が超人間的な希願にまでその祈....
「死刑囚最後の日」より 著者:豊島与志雄
万事にまた万人に通用できるものばかりだった。深みを要するところに誇張を持ち来し、
素純を要するところに平明を持ち来した。それは一種の感傷的な説教であり、神学的な哀....
「『出家とその弟子』の追憶」より 著者:倉田百三
人間が読んで、殊に若い人たちが読んでいつまでも悪いことはない、きっとその心を
素純にし、うるおわせ、まっすぐにものを追い求める感情を感染させるであろうと今でも....
「学生と生活」より 著者:倉田百三
も、尋常なレディに及ぶものではない。比較的に見るとき、レディにはそのナイーヴさ、
素純さ、処女性の新鮮さにおいて、玄人にはとうてい見出されない肌ざわりがあるのだ。....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
限らず子供というものはよく気絶する。大人のような遅疑がないので、事にぶつかると、
素純なたましいは、この世とあの世の境を、つい弾みでも、超えてしまうのであろう。 ....