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素絹
「素絹〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
素絹の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
なる乙女の顔かたちをのぞき込むように眺めていた。六十に近い信西入道も我にもあらで
素絹《そけん》の襟をかき合わせた。 「年は幾つじゃ」と忠通はまた訊いた。 「十四....
「三浦右衛門の最後」より 著者:菊池寛
ちに女らしさがあり、凜々《りり》しさのうちに狡滑《こうかつ》らしさがあった。肌に
素絹《しらぎぬ》の襦袢《じゅばん》を着て単衣《ひとえ》を着ている姿は、国持大名の....
「俊寛」より 著者:菊池寛
べからざるものだった。俊寛は、ふと鳥羽で別れるとき、妻の松の前から形見に贈られた
素絹の小袖を、今もなおそのままに、持っているのに気がついた。それは、現在の彼にと....
「とむらい機関車」より 著者:大阪圭吉
た丸顔で、皮膚は蝋燭の様に白く透通り、鼻は低いが口元は小さく、その丸い両の眼玉は
素絹を敷いた様に少しボーッとしてはいますが、これが又何と言いますか、恐ろしく甘い....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
養わずばなるまいぞ」 「お言葉有難く存じます」 「よいよい」 と云って信玄は、
素絹の袖を左右に張ると、トンと軍扇を膝に突いた。 再び軍議に入ったのである。 ....
「我に叛く」より 著者:宮本百合子
さい妹が、首を振り振り力を入れてオルガンを踏みながら、あどけない歌を唱っている。
素絹《すずし》のような少女の声と、楽器の単音が、傾いた金緑色の外景とともに、微か....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
、振袖の三枚|襲を掴みのけて、棺の傍に押し込みますと、その下から現われましたのは
素絹に蔽われました顔、合掌した手首を白木綿で縛られている清らかな二の腕、紅友禅の....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
のほどを顧み、恥じかつ恐れ入って人の見えぬような所に坐しいると、たちまち見る一人
素絹と錦襴を被せ金の頸環、銀の鎖を付けた四疋の犬を牽き来り別室に維《つな》ぎ、去....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ってごらんなさい、私の手の熱いこと。」
けれども朝に、こわれた古|櫛《ぐし》で
素絹のように流れたきれいな髪をとかす時には、おめかしの一瞬を楽しむのであった。
....
「湖水と彼等」より 著者:豊島与志雄
い湖水の面に煙って薄すらとした靄に匂った。そして森や野や遠くの山まで一面に青白い
素絹を投げた。それらの上に高く紫紺の空が拡がる。ところどころ星を鏤めた大空の中心....
「三国志」より 著者:吉川英治
坐し、水陸の諸大将すべて一船に集まって、旺なる江上の宴を催した。 大江の水は、
素絹を引いたように、月光にかすんでいた。――南は遠く呉の柴桑山から樊山をのぞみ、....
「三国志」より 著者:吉川英治
、ぷーんと異薫が流れて来た。 「おや?」と、趙子龍が振り向いてみると、雪のような
素絹をまとった美人が楚々と入ってきて、 「お呼び遊ばしましたか」と、趙範へいった....