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素足
「素足〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
素足の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
りながら、川楊《かわやなぎ》の木の空を見ていると、母親の裙子《くんし》だの、女の
素足《すあし》だの、花の咲いた胡麻《ごま》畑だのが、はっきりその空へ見えたと云う....
「夢」より 著者:芥川竜之介
に、――殊にわたしの足もとにある、薄赤い絨氈《じゅうたん》に目を落した。それから
素足《すあし》の指先にそっと絨氈を撫《な》でまわした。絨氈の与える触覚は存外毛皮....
「或る女」より 著者:有島武郎
がら、腹の痛むのをこらえるような姿で古藤の前を通りぬけた。湯でほんのりと赤らんだ
素足に古藤の目が鋭くちらっと宿ったのを感じながら、障子を細目にあけて手をならした....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
草履が一ツ。ぞんざいに黒い裏を見せて引くり返っているのを、白い指でちょいと直し、
素足に引懸け、がたり腰障子を左へ開けると、十時過ぎの太陽が、向うの井戸端の、柳の....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
た。農場の男たちすらもう少し空模様を見てからにしろとしいて止めるのも聞かず、君は
素足にかちんかちん頭巾をかぶって、十二分に身じたくをしてから出かけたらいいだろう....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
泣いた。その小さい心臓は無上の歓喜のために破れようとした。思わず身をすり寄せて、
素足のままのフランシスの爪先きに手を触れると、フランシスは静かに足を引きすざらせ....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
は手拭の上へ撥を置いて、腰へ三味線を小取廻し、内端に片膝を上げながら、床几の上に
素足の胡坐。 ト裾を一つ掻込んで、 「早速一合、酒は良いのを。」 「ええ、もう....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
頬を殺ぐようで、鮮麗に見えて、いたいたしい。 いたいたしいと言えば、それがね、
素足に上草履。あの、旅店で廊下を穿かせる赤い端緒の立ったやつで――しっとりとちと....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
崖下だから薄暗い。部屋が両方にある、茶の間かと思う左の一層暗い中から、ひたひたと
素足で、銀杏返のほつれながら、きりりとした蒼白い顔を見せた、が、少し前屈みになっ....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
は既に消えて、怪物のような黒い影が東の方から走って来た。その影は、あたかも巨人の
素足が砂の上を走り出したようでもあった。寒い風の波は背中へまでも吹き込んで来た。....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
に艶やかに靡いて、色の白いが薄化粧。水色縮緬の蹴出の褄、はらはら蓮の莟を捌いて、
素足ながら清らかに、草履ばきの埃も立たず、急いで迎えた少年に、ばッたりと藪の前。....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
、御自身はいつもと同一の白衣に白の頭巾をかぶり、そして長い長い一|本の杖を持ち、
素足に白鼻緒の藁草履を穿いて私の先きに立たれたのでした。序でにお爺さんの人相書を....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
で、さっと肩に消えて、池の欄干を伝う、緋鯉の鰭のこぼれかかる真白な足袋はだしは、
素足よりなお冷い。で……霞へ渡る反橋を視れば、そこへ島田に結った初々しい魂が、我....
「赤いくつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
かにおとむらいにはふさわしくないものでしたが、ほかに、くつといってなかったので、
素足の上にそれをはいて、粗末な棺おけのうしろからついていきました。 そのとき、....
「初雪」より 著者:秋田滋
庭の戸を開けた。大地は雪に蔽われて、死んだように寂然している。彼女はいきなりその
素足を氷のように冷たい、柔かな粉雪のなかへ一歩踏み込だ。と、傷のように痛く疼く冷....