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「素通し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

素通しの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
呼び、桟敷や土間に案内さす。ビラを書く紙がなくなった、紙を持て来うと幹部が呼ぶ。素通し眼鏡をかけたイナセな村の阿哥が走る。「ありゃ好い男だな」と他村の者が評する....
創生記」より 著者:太宰治
のほうが、市価数倍せむことを胸算して、二ヶ月、三ヶ月、日和見、そのうちに芥川賞|素通して、拙稿返送という憂目、再三ならずございました。記者諸君。芥川賞と言えば、....
乳色の靄」より 著者:葉山嘉樹
そりゃ刑務所出来の靴さ。それからな、お前さんは、番頭さんにゃ見えねえよ。金張りの素通しの眼鏡なんか、留置場でエンコの連中をおどかすだけの向だよ。今時、番頭さんだ....
第四次元の男」より 著者:海野十三
て、大安心をすることができた。わたくしの後には誰もいなかった。廊下は、奥の方まで素通しで、猫一匹、そこにはいなかった。 「やあ、藤田さん。ゆうべは、だいぶん儲け....
」より 著者:宮本百合子
硝子戸に不思議に縁がある。この間まで借りていた二階の部屋は東が二間、四枚の素通し硝子であった。朝日が早くさし込む。空が雑木の梢を泛べて広く見渡せ、枝々の間....
露肆」より 著者:泉鏡花
角い肩して、一ふり、ぐいと首を振ると、ぴんと反らした鼻の下の髯とともに、砂除けの素通し、ちょんぼりした可愛い目をくるりと遣ったが、ひょんな顔。 ……というもの....
黒点」より 著者:豊島与志雄
穴から隙見していたが、父が一寸振向いたのでぎくりとした。父のその眼付では、何でも素通しに見透されるような気がした。 そういう時の父と、平素のぼんやりしてる時の....
絶縁体」より 著者:豊島与志雄
れなかった。 そのため、私の方は困った状態に置かれた。市木さんの家と私の家とは素通しになってしまったのである。市木さんの方では、私の方に面してるのは裏口で、そ....
放浪記(初出)」より 著者:林芙美子
らないのかしら、その拾円がみんな、ミシン屋の叔母さんのふところへ、はいって私には素通して行っただけの拾円だった。 セルロイド工場の事。 自殺したお千代さんの....
書物を愛する道」より 著者:柳田国男
手段としては、註を付け講釈をして聴かすということより他には無かった。註釈は決して素通しの硝子のようなもので無いことは、甲乙幾つもの註が互にちがって居るのを見ても....