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素通り
「素通り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
素通りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
いるらしく、話声で賑わっていたが、園はそこを覗いてみる気持にもなれないで、そっと
素通りして自分の部屋にはいった。
渡瀬がひどく酔払って白官舎に訪ねてきた翌日か....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
所ありて、馬に飲《みずか》い、客に茶を売るを例とすれども、今日《きょう》ばかりは
素通りなるべし、と乗り合いは心々に想《おも》いぬ。 御者はこの店頭《みせさき》....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
そ。 真砂町の家へ帰ると、玄関には書生が居て、送迎いの手数を掛けるから、いつも
素通りにして、横の木戸をトンと押して、水口から庭へ廻って、縁側へ飛上るのが例で。....
「映画と癩の問題」より 著者:伊丹万作
の収容力不足(それは全国の推定患者数の三分の一にも足りなかったと思う。)の事実を
素通りしてはまったく意味をなさない。 現在東京の銭湯に通っている癩患者は推定八....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
いとの事、なるほどそうであったかと、新橋行で行くことにする。くる電車もくる電車も
素通りで、八、九回目にようやく乗れたが、一列に並んでいる人達何の苦情も言わず。心....
「江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
ばかりの露店がある。これは性が悪くて、客が立止って一度価を聞こうものなら、金輪際
素通りの聞放しをさせない、袂を握って客が値をつけるまで離さない。買うつもりで価を....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
ども、それらしい家もなく、柳の樹も分らない。それに今じゃ、三里ばかり向うを汽車が
素通りにして行くようになったから、人通もなし。大方、その馬士も、老人も、もうこの....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
―宅とは露路のその長屋で。 宗吉は、しかし、その長屋の前さえ、遁隠れするように
素通りして、明神の境内のあなたこなた、人目の隙の隅々に立って、飢さえ忘れて、半日....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
か、幕下でも、前頭でも、番附か逸話に名の出るほどの人物でなくてはあしらい兼ねる。
素通りをすることになった。遺憾さに、内は広し、座敷は多し、程は遠い…… 「お誓さ....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
い、木村さん、信さん寄っておいでよ、お寄りといったら寄っても宜いではないか、また
素通りで二葉屋へ行く気だろう―― にはじまって、――ある雨の日のつれづれに表を通....
「秋の筑波山」より 著者:大町桂月
頂上に三つ。下からわざわざ上つて来て居ります。やすんでいらつしやれと強ひられて、
素通りも出来ず。一軒に五分づゝ休むとしても、都合四十分かゝる。蘭を採つたり、つく....
「褐色の求道」より 著者:岡本かの子
遊んでいる乳母車、乳母、子供、犬が路面ごと灰色の渋晦を浴せられた。 来た以上、
素通りもと、私は二度目の仏陀寺へ寄った。そして見物はもう不要だから、例の本堂の法....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
、神の引合わせかと思う。ちょっと筋向うのが柳屋のだと、声をさえかけて下すったら、
素通りにされても怨まない。実際そうでないと、わずか廊下を七八間離れたばかりで、一....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
両側の軒ごとに、一業二業、三業の軒燈が押合って、灯は入らないでも、カンカン帽子の
素通りは四角八面に照らされる。中にも真円い磨硝子のなどは、目金をかけた梟で、この....
「活人形」より 著者:泉鏡花
時すがら悪き病疾に罹れるやらむ、近寄りては面倒、と慈悲心無き男なれば遠くより
素通りしつ。まてしばし人を尋ぬる身にしあれば、人の形をなしたる物は、何まれ心を注....