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素麺
「素麺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
素麺の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
上っぱりを着て、古ぼけた手拭で姉さんかぶりをした母が、後ろ向きに店の隅に立って、
素麺《そうめん》箱の中をせせりながら、
「またこの寒いにお前どこかに出けるのけえ....
「満韓ところどころ」より 著者:夏目漱石
山のようにたかっている。その辺は支那の豆腐やら、肉饅頭《にくまんじゅう》やら、豆
素麺《まめそうめん》などを売る汚《きた》ない店の隙間《すきま》なく並んでいる所で....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
家であった。 格子にならんだ台所で、三十三四の女が今夜のたなばたに供えるらしい
素麺を冷やしていた。半七は近よって声をかけると、かれは主婦のお豊であった。ここに....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
す。朝は粥にして、玉蜀黍で補い、米を食い尽し、少々の糯米をふかし、真黒い饂飩粉や
素麺や、畑の野菜や食えるものは片端から食うて、粒食の終はもう眼の前に来ました。い....
「伸子」より 著者:宮本百合子
指を拡げて裏から白髯《はくぜん》を扱《しご》いた。長い白髯は春の光の中で、支那|
素麺《そうめん》のように清らかに輝いた。 「何でお洗いになりますの?」 「玉子の....
「一九二九年一月――二月」より 著者:宮本百合子
上で 云うに云われぬ 一種の笑顔になりながら 遠慮深く答えたものだ。 つめたい
素麺《そうめん》がほしい。 数年前或ところで醤油の味を殆どけした極めて美味いだ....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
入口迄は女子供も参りまする、夏の遊山場でな、お前様。お茶屋も懸っておりまするで、
素麺、白玉、心太など冷物もござりますが、一坂越えると、滝がござります。そこまでも....
「カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
《えんばく》がつくことになっております。土曜日には、白スープと豌豆《えんどう》の
素麺《そうめん》、それにどろどろのお粥《かゆ》が出ます。これにはみんなバタがつく....
「朱絃舎浜子」より 著者:長谷川時雨
曲からうけた感銘に、ほろほろとしている主客を、救ってくれたのは、鼓村師の好きな
素麺《そうめん》だった。古くからいる、年とった女中は、弾奏のあとで、冷たいものを....
「平賀源内捕物帳」より 著者:久生十蘭
積上げられた灘の酒、堺の酢、岸和田の新綿、米、糖《ぬか》、藍玉《あいだま》、灘目
素麺《なだめそうめん》、阿波蝋燭、干鰯。問屋の帳場が揚荷の帳付《ちょうつけ》。小....
「食道楽」より 著者:村井弦斎
て水とお砂糖とで煮て裏漉にかけます。ゼラチンで寄せると美味うございますが、それを
素麺《そうめん》のようにするのは外《ほか》の時の倍位即ち一合に六、七枚のゼラチン....
「ワーニャ伯父さん」より 著者:神西清
きちんきちんとやってゆけますよ。……(ため息をついて)わたしゃもう久しいこと、お
素麺を食べないよ、情けないったらありゃしない。 テレーギン まったくね、長く
素麺....
「無月物語」より 著者:久生十蘭
りの異形な真額に冠をのせ、逢坂あたりまで出迎えた、鉢叩き、傀儡師《かいらいし》、
素麺売などという連中に直衣を着せ、なんと形容のしようもない異様な行列をしたがえて....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
で、やや罅の入った重い濁り声で、咄弁でもなく雄弁でもなく、ただ冗漫言をだらだらと
素麺式に扱いてゆくだけであるので驚いた。質問の要点には少しも触れないで、聞いてい....
「黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
に熱湯が沸き出している、あたりの岩の裂目からも湯が滲み出して、硫黄の華が真黄色な
素麺を流したように沈澱している。立ち留ると草鞋まで熱くなって来る。減水の折は餓鬼....