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「索寞〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

索寞の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
ケーベル先生」より 著者:夏目漱石
る興味を抱《いだ》いて、十八年の長い間哲学の講義を続けている。先生が疾《と》くに索寞《さくばく》たる日本を去るべくして、いまだに去らないのは、実にこの愛すべき学....
明暗」より 著者:夏目漱石
の反応も出て来なかった。人がいるかいないかまるで分らない内側は、始めと同じように索寞《ひっそり》していた。 「お客さまがいらっしゃいました」 下女は外部《そと....
道草」より 著者:夏目漱石
った。けれども一方ではまた心の底に異様の熱塊があるという自信を持っていた。だから索寞《さくばく》たる曠野《あらの》の方角へ向けて生活の路《みち》を歩いて行きなが....
趣味の遺伝」より 著者:夏目漱石
会にでも招待されそうなこの女が、なぜかくのごとく四辺の光景と映帯《えいたい》して索寞《さくばく》の観を添えるのか。これも諷語《ふうご》だからだ。マクベスの門番が....
食魔」より 著者:岡本かの子
のに思い做されようぞ。彼は頁を開くとすぐ眠くなった。それは努めて読んで行くとその索寞さに頭が痛くなって、しきりに喉頭へ味なるものが恋い慕われた。彼は美味な食物を....
東京八景」より 著者:太宰治
いう感じである。こんなところは、宿泊料も安いであろうという、理由だけで、私はその索寞たる山村を選んだ。昭和十五年、七月三日の事である。その頃は、私にも、少しお金....
伸子」より 著者:宮本百合子
解が得られるだろうと、多くの口数を利いたのであった。けれども、母の言葉で、伸子は索寞とした気持になって来た。知識階級の青年らしくもない沢谷の態度も、いやであった....
討論に即しての感想」より 著者:宮本百合子
らのものでもなくて、今日生活窮乏は一般的です。それだのに何故物取り主義などという索寞とした自己批判が起ったのでしょう。経済闘争だけで終ったとき、人々の心に湧いた....
姑と嫁について」より 著者:与謝野晶子
る。なぜなら彼らの大多数の姑たちは一方には教えられざる婦人であり、一方には老後の索寞、月経閉鎖期前後の悲哀、その他種種の事情から精神の平衡を欠き、もしくはヒステ....
上海」より 著者:横光利一
とを待つために。―― 参木はこの地上でこれほども自分に悲劇を与えた一点が、ただ索寞としたこの八畳の平凡な風景だと思うと、俄に平凡ということが、何よりも奇怪な風....