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索漠
「索漠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
索漠の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
燃えているのを意識していた。彼はこのまま、本郷行《ほんごうゆき》の電車へ乗って、
索漠《さくばく》たる下宿の二階へ帰って行くのに忍びなかった。そこで彼は夕日の中を....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
上楽園は畢竟《ひっきょう》退屈なるパノラマである。黄老の学者の地上楽園もつまりは
索漠とした支那料理屋に過ぎない。況んや近代のユウトピアなどは――ウイルヤム・ジェ....
「樗牛の事」より 著者:芥川竜之介
してこの大理石の墓と――自分は十年ぶりで「わが袖の記」を読んだのとは、全く反対な
索漠《さくばく》さを感じて、匆々《そうそう》竜華寺の門をあとにした。爾来《じらい....
「河明り」より 著者:岡本かの子
ることに熱中した時代であって、この主流に対比しては、いよいよ紫苑氏の詩風は古臭く
索漠に見えた。それでも氏の詩作は続けられていた。そのうち、ふと消えた。二三年して....
「刻々」より 著者:宮本百合子
第に変った。四角い顔の半面が攣れていたようなのは消え、赤味も減り、蒼白く無表情に
索漠とした顔つきである。肩つきまで下った。カサのない電燈の黄色っぽい光がその顔を....
「鈍・根・録」より 著者:宮本百合子
ずなが、余りすっぱりと切り離されていることを知って、忿《いか》りも湧き立たぬほど
索漠とした気持を経験した。 その気持のままで、私の日常生活には変動が生じた。荒....
「伸子」より 著者:宮本百合子
か感情の扉はぴたりと閉ってしまっている。何から書くのか、何を書いても、下らない、
索漠とした空虚な言葉としか響かないように感じられた。佃に対する小さな感謝、真心か....
「祭日ならざる日々」より 著者:宮本百合子
悪とともに、どのくらい深刻に思慮ある男、現実の艱苦《かんく》の中にある男の感情を
索漠とさせるものであるか。ヨーロッパ大戦ののち書かれた多くの代表的文学作品は、塹....
「『キング』で得をするのは誰か」より 著者:宮本百合子
から何かと見ると下に「人生の快事」と題して「人生にすべての苦難がなくなったときの
索漠たる物寂しさを想像して見よ」この世は辛いのでいいのだという金言みたいなのがの....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
るほど、わたしというものはお人好しなのかしら。ああ、つまらない! ああ、無意味と
索漠を極めた旅というものよ! わたしは、極暑のうん気の中に、巣鴨の伝中の化物屋....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
れしいのよ。やはり子供はいいと思うの。うけとりかたが真直です。寿は、この頃何だか
索漠としたところが出来て、人生がわかったような調子で、何か話しても多くの場合、あ....
「或る男の手記」より 著者:豊島与志雄
れが原因だった。たまに玄人《くろうと》の女に接することがあっても、後の感銘は実に
索漠たるものだった。殊に家庭に於てはそれが甚しかった。そのために私の家庭には、冷....
「人間繁栄」より 著者:豊島与志雄
た。 そうした自分自身に気がつくと、彼は慌てて布団の中にもぐり込んだ。佗びしい
索漠たる感じが四方から寄せてきた。その中で彼は、自分の過去をずっと見渡してみた。....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
はいった一瞬間、汽車の走っている方向が逆になったような錯覚を感じながら、それらの
索漠とした記事から記事へ殆機械的に眼を通した。が、その間も勿論あの小娘が、あたか....
「墓地展望亭」より 著者:久生十蘭
る。今迄のさまざまな経験で竜太郎は、はっきりとそれを是認した。 竜太郎は、無味
索漠たる空々しい人生の中で、誰れからも愛されるあてもなく、誰れを愛する自信もなく....