紫の雲[語句情報] »
紫の雲
「紫の雲〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
紫の雲の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
の濃い事は、一斉に緋桃が咲いたほどであるから、あるいは桃だろうとも言うのである。
紫の雲の、本願寺の屋の棟にかかるのは引接の果報ある善男善女でないと拝まれない。が....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
ってさえ下されば、それこそ、あの、屋中真黒に下った煤も、藤の花に咲かわって、その
紫の雲の中に、貴女のお顔を見る嬉しさはどんなでしょう。 そうなれば、不幸極まる....
「小春の狐」より 著者:泉鏡花
そのひとは、厭わしげもなく、親しく曳いて坂を上ったのである。衣の香に包まれて、藤
紫の雲の裡に、何も見えぬ。冷いが、時めくばかり、優しさが頬に触れる袖の上に、月影....
「清心庵」より 著者:泉鏡花
う広がりて、墨の色せる巓と連りたり。山はいまだ暮ならず。夕日の余波あるあたり、薄
紫の雲も見ゆ。そよとばかり風立つままに、むら薄の穂｜打靡きて、肩のあたりに秋ぞ染....
「山吹」より 著者:泉鏡花
す。勿体ない。（這出して、画家の金口から吸いつける）罰の当った――勿体ない。この
紫の雲に乗りまして、ふわふわと……極楽の空へ舞いましょう。 夫人 爺さん、もう行....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
脱いで坐ったのも、つい近頃のようですもの。お母さんにつれられて。白い雲、青い雲、
紫の雲は何様でしょう。鬼子母神様は紅い雲のように思われますね。」 墓所は直近い....
「若草物語」より 著者:オルコットルイーザ・メイ
た。あおい川、ひろびろとした草地、そのむこうのみどりの山々、その峰にたなびく金と
紫の雲、まことに、天の都を思わせるものがありました。 「なんてうつくしいんだろう....
「雪の塔」より 著者:海若藍平
もいつのまにか西へ落ちてしまって、あたりが明るくなると思う間もなく、東の山の上に
紫の雲が一つ一つ湧き出して、右に左にゆらゆらと靉靆《たなびき》はじめました。 ....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
、絵本の弘法大師一代記をめくりつつ、私とその子に話してくれた。恐らくこれが初めて
紫の雲などたなびいている聖人のことを印象した発端だろう。その子の父親はいつも店先....
「五月の唯物観」より 著者:寺田寅彦
かの小動物の尻尾のように垂れていた花房が急に伸び開き簇生した莟が破れてあでやかな
紫の雲を棚引かせる。そういう時によく武蔵野名物のから風が吹くことがあってせっかく....
「夢の卵」より 著者:豊島与志雄
だな》に飾りました。 六 その晩、王子は夢をみました。この前の通り
紫の雲に乗って、あの白い毛の老人が出て来ました。そして王子にこう言いました。 「....
「法然行伝」より 著者:中里介山
承二年四月七日の午《うま》の正中に母の秦氏悩むことなくして男の子を生んだ。その時
紫の雲が天にそびえ、邸のうち、家の西に元が二肢《ふたえだ》あって末が茂り、丈の高....
「山道」より 著者:中里介山
てはたまりません……」 「ですけれども浅草の観音様が大震災の時に焼け残ったのは、
紫の雲に乗った観世音菩薩の威神力《いじんりき》がそうあらしめたのではなく、あの四....
「二十六夜」より 著者:宮沢賢治
らです。けむりは見る間にたなびいて、お月さまの下すっかり山の上に目もさめるような
紫の雲をつくりました。その雲の上に、金いろの立派な人が三人まっすぐに立っています....
「栄蔵の死」より 著者:宮本百合子
商売は出来ませんやね。 と云った。そしてとうとう桐は五十円で落されてしまった。
紫の雲の様に咲く花ももう見られないと達は、その木の下で、姉と飯事をした幼い思い出....