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「紫紅〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

紫紅の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
押絵の奇蹟」より 著者:夢野久作
しながら笑っておりましたが、そのうちに八丁堀の大旦那様(大沼氏)や平川町の先生(紫紅《しこう》氏)方がお見えになって、いよいよ本当だとわかりますと僕は思わず手放....
河明り」より 著者:岡本かの子
入って行った。床の間の掛軸は変っていて、明治末期に早世した美術院の天才画家、今村紫紅の南洋の景色の横ものが掛けられてあった。 老主人の濃茶の手前があって、私と....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
からは種々の苦情が出たのに辟易して、急に鬼太郎君に代って貰うことにした。 山崎紫紅君の「上杉謙信」が世に出たのも此の年であったと記憶している。舞台は真砂座で伊....
紀行文家の群れ」より 著者:小島烏水
卒不悪御思召被下度候、追々年もさし迫りさぞ御忙しきことと存候、大日本地誌は先日も紫紅兄の横浜通なる眼光を以て批評せられ大にヘコミ居申候ことに御座候、先づは御返事....
千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
作のことに委しい人だから、諸方に光って見える畠を私に指して見せて、あそこに大きな紫紅色の葉を垂れたのが「わたり粟」というやつだとか、こっちの方に細い青黒い莢を垂....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
折って来た野の草花を花瓶一ぱいに插した。女郎花、地楡、水引、螢草、うつぼ草、黄碧紫紅入り乱れて、あばら家も為に風情を添えた。媒妁夫妻は心嬉しく、主人は綿絽の紋付....
道標」より 著者:宮本百合子
ク※河岸の公園へ行った。河に向った公園のリラの花房は、三分どおり開きはじめて白や紫紅色の豊かな花房のまわりに熊蜂がとんでいた。 パン販売店の列に立ち、石油販売....
沓掛より」より 著者:寺田寅彦
と言ったほうがもっともらしいように思われるのである。 そうかと思うとたとえば、紫紅色の「つりふね草」は湿潤な水辺に多いが、これとよく似て黄色い「黄つりふね草」....
C先生への手紙」より 著者:宮本百合子
陰翳と云うものの無い万物を見るのは淋しゅうございます。五月の末に此方に来た時は、紫紅色の房々としたライラックがまだ蕾勝ちで、素朴な林檎の花盛りでございました。其....
縁談」より 著者:佐藤垢石
汗に二筋、三筋溶けて、蚯蚓のように赤黒い肌が現われている。低いからだを袂の長い淡紫紅の夏羽織に包んだところは、まるで袋にでも入ったようだ。髪の毛はあかい、手は黒....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
うしてともかくもこじ明けたのは松居君の力である。つづいてその扉をあけたのは山崎|紫紅君である。山崎君は真砂座に「上杉謙信」、明治座に「歌舞伎物語」、「破戒曾我」....
明治演劇年表」より 著者:岡本綺堂
を上演。 ○三月一、二の両日、帝国劇場は開場式を行い、四日より興行す。狂言は山崎紫紅作「頼朝」と「伊賀越」「羽衣」。俳優は梅幸、高麗蔵、宗十郎、宗之助、松助、鴈....
日を愛しむ」より 著者:外村繁
一輪は俯伏し、二輪は黄色の雄蘂を上に向けている。花公方ももう盛りを過ぎ、木の下に紫紅色の小さな花を散りこぼしている。 静かである。珍しくラジオも停止している。....
黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
半町も続いている。能く視ると白い泡と泡とが噛み合って虚空に跳っているものは、淡い紫紅色を帯びていた。一、二間離れるとお互の話声などは、もう蚊の唸る程にも聞かれな....