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「紫色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

紫色の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
三右衛門の罪」より 著者:芥川竜之介
を受けた。しかも一人は眉間《みけん》のあたりを、三右衛門は左の横鬢《よこびん》を紫色に腫《は》れ上《あが》らせたのである。治修はこの二人を召し、神妙の至りと云う....
或る女」より 著者:有島武郎
珍しそうにながめやって、右手の指先を軽く器用に動かしながら、煙草《たばこ》の煙が紫色に顔をかすめるのを払っていた。自分を囮《おとり》にまで使おうとする無礼もあな....
或る女」より 著者:有島武郎
細っていた。その代わり目は前にも増して大きく鈴を張って、化粧焼けとも思われぬ薄い紫色の色素がそのまわりに現われて来ていた。それが葉子の目にたとえば森林に囲まれた....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
水蒸気の濛々《もうもう》と立上る様を待ち遠しげに眺めやった。マッカリヌプリは毎日紫色に暖かく霞《かす》んだ。林の中の雪の叢消《むらぎ》えの間には福寿草《ふくじゅ....
一房の葡萄」より 著者:有島武郎
らのび出させて、葡萄の一房をもぎ取って、真白《まっしろ》い左の手の上に粉のふいた紫色の房を乗せて、細長い銀色の鋏《はさみ》で真中《まんなか》からぷつりと二つに切....
婦系図」より 著者:泉鏡花
、投げる様に言棄てたが、恐気も無く、一分時の前は炎のごとく真紅に狂ったのが、早や紫色に変って、床に氷ついて、飜った腹の青い守宮を摘んで、ぶらりと提げて、鼻紙を取....
親子」より 著者:有島武郎
れた株だけが立ち続いていた。斑ら生えのしたかたくなな雑草の見える場所を除いては、紫色に黒ずんで一面に地膚をさらけていた。そして一か所、作物の殻を焼く煙が重く立ち....
絵本の春」より 著者:泉鏡花
と円い膝に、揉み込むばかり手を据えた。 「もう、見たかい。……ええ、高島田で、紫色の衣ものを着た、美しい、気高い……十八九の。……ああ、悪戯をするよ。」 と....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
湧けば、大木の幹にも伝わる、土蜘蛛だ、朽木だ、山蛭だ、俺が実家は祭礼の蒼い万燈、紫色の揃いの提灯、さいかち茨の赤い山車だ。」 と言う……葉ながら散った、山葡萄....
」より 著者:池谷信三郎
、明るい太陽が彼女の睫毛に、可憐な虹を描いていた。 新聞社の屋根でたった一人、紫色の仕事着を着た給仕の少女が、襟にさし忘れた縫針の先でぼんやり欄干を突っつきな....
世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
濃い紫の死びと色があらわれていた。又その色は彼の長い指にも爪ぎわにもあった。その紫色の斑点は、墓の中でだんだんに濃い紅色になり、やがて黒くなって崩れ出す筈のもの....
黒百合」より 著者:泉鏡花
昔からの言い伝で、何か黒百合といえば因縁事の絡わった、美しい、黒い、艶を持った、紫色の、物凄い、堅い花のように思われるのに、石滝という処は、今の談では、場処も、....
雪の女王」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
さん、おはようございます。」 すると、おっかさんは、女の子のはなが赤くなったり紫色になったりするまで、ゆびではじきました。 でもこれは、かわいくてたまらない....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
茶色と黄色につつまれ、優美な木々は霜にうたれて、ちらほらと輝かしいオレンジ色や、紫色や、また真紅にそまっていた。鴨は列をつくって空高く飛びはじめ、栗鼠の鳴く声が....
活人形」より 著者:泉鏡花
れど、聞入れざるを憤り、日に日に手暴き折檻に、無慙や身内の皮は裂け、血に染みて、紫色に腫れたる痕も多かりけり。 下枝は我に取縋りて、得堪えぬ苦痛を訴えつつ、助....