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細かい
「細かい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
細かいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文章」より 著者:芥川竜之介
はあ」と答えたぎり、茫然と罫紙へ目を落した。罫紙には叙任《じょにん》の年月ばかり
細かい楷書《かいしょ》を並べている。これはただの履歴書ではない。文官と云わず武官....
「春」より 著者:芥川竜之介
のは妹の手紙の一行《いちぎょう》だった。その手紙は不相変《あいかわらず》白い紙を
細かいペンの字に埋《うず》めていた。しかし篤介との関係になると、ほとんど何ごとも....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
ぶち》の中へ入れても――いや、手垢《てあか》ばかりではない。何か大きい10の上に
細かいインクの楽書《らくがき》もある。彼は静かに十円札を取り上げ、口の中にその文....
「河童」より 著者:芥川竜之介
した。なんでもチャックの返答はだいたいこうだったように覚えています。もっとも多少
細かいところは間違《まちが》っているかもしれません。なにしろまだそのころは僕も河....
「子供の病気」より 著者:芥川竜之介
ことを思い出した。が、何とも云わなかった。
家を出た時はまっ暗だった。その中に
細かい雨が降っていた。自分は門を出ると同時に、日和下駄《ひよりげた》をはいている....
「路上」より 著者:芥川竜之介
がした。
俊助《しゅんすけ》はこう云う図書館の窓際の席に腰を下して、さっきから
細かい活字の上に丹念《たんねん》な眼を曝《さら》していた。彼は色の浅黒い、体格の....
「点鬼簿」より 著者:芥川竜之介
巾《はぎれ》を貰い、ゴム人形に着せたのを覚えている。その又端巾は言い合せたように
細かい花や楽器を散らした舶来のキャラコばかりだった。
或春先の日曜の午後、「初....
「誘惑」より 著者:芥川竜之介
《もっと》もまん中に立った彼等を始め、何《なに》も彼《か》も鱗《うろこ》のように
細かい。
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このカッフェの内部。「さん・せばすちあん」は大勢の踊....
「或る女」より 著者:有島武郎
いた。糊気《のりけ》のぬけきった単衣《ひとえ》も物さびしかった。その柄《がら》の
細かい所には里の母の着古しというような香《にお》いがした。由緒《ゆいしょ》ある京....
「或る女」より 著者:有島武郎
り》をかわいがってくれる事から、部屋《へや》の事、食物の事、さすがに女の子らしく
細かい事まで自分|一人《ひとり》の興に乗じて談《かた》り続けた。愛子も言葉少なに....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
そうなると彼れは夢からさめるようにつまらない現実に帰った。鈍った意識の反動として
細かい事にも鋭く神経が働き出した。石炭酸の香は何よりも先ず死んだ赤坊を彼れに思い....
「星座」より 著者:有島武郎
との隔たりが大きくておまけに狭く、手欄《てすり》もない階子段を、手さぐりの指先に
細かい塵を感じながら、折れ曲り折り曲りして昇るのだ。長い四角形の筒のような壁には....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
べにかかりましたが、人間から観れば何れも大同小異の妖しい小人というのみで、一々|
細かいことは判りかねました。標本として私はそれ等の中で少し毛色の異ったものの人相....
「凧の話」より 著者:淡島寒月
の絵や字は定まっている。けれども『三国志』や『水滸伝』の人物の二人立三人立などの
細かい絵になると、高く揚った場合、折角の絵も分らないから、それよりも月浪とか童子....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
、だんだん急にまわりはじめた。同時に又右の松林はひっそりと枝をかわしたまま、丁度
細かい切子硝子を透かして見るようになりはじめた。僕は動悸の高まるのを感じ、何度も....