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「細さ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

細さの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
今度は華奢《きゃしゃ》な女の足が突然空へ現れた。纏足《てんそく》をした足だから、細さは漸《ようや》く三寸あまりしかない。しなやかにまがった指の先には、うす白い爪....
蜘蛛の糸」より 著者:芥川竜之介
るものがあると思いますと、それは恐しい針の山の針が光るのでございますから、その心細さと云ったらございません。その上あたりは墓の中のようにしんと静まり返って、たま....
トロッコ」より 著者:芥川竜之介
われても泣き立てるより外に仕方がなかった。あの遠い路を駈け通して来た、今までの心細さをふり返ると、いくら大声に泣き続けても、足りない気もちに迫られながら、………....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
のみでした。 そうかと思えば、次ぎの瞬間には、私はこれから先きの未知の世界の心細さに慄い戦いているのでした。『誰人も迎えに来てくれるものはないのかしら……。』....
親子」より 著者:有島武郎
際彼から見ていても、父の申し出の中には、あまりに些末のことにわたって、相手に腹の細さを見透かされはしまいかと思う事もあった。彼はそういう時には思わず知らずはらは....
世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
歓喜を知る心を持つ、破れ易い船のような人民――」と、皇帝は心のうちで叫んだ時、心細さが彼の胸を貫いた。 かくの如く、生と死との両極のあいだにあって反省し、動揺....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
狗様の下男が清水を汲みに山一つ彼方へといった体で、我ながら、余り世間離れがした心細さに、 (ほっ、) と云ったが、声も、ふやける。肩をかえて性根だめしに、そこ....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
町人だ。」 「いえ、そういうわけではござりませんが。――そのお桂様に、(暗闇の心細さに、提灯を借りましたけれど、盲に何が見えると、帳場で笑いつけて火を貸しません....
高野聖」より 著者:泉鏡花
《たま》っていて何十年ぶりではじめて地の上まで落ちるのか分らぬ。」 八 「心細さは申すまでもなかったが、卑怯《ひきょう》なようでも修行《しゅぎょう》の積まぬ....
七宝の柱」より 著者:泉鏡花
、遠く続くという、まばらに寂しい松並木の、旧街道を通ったのである。 松並木の心細さ。 途中で、都らしい女に逢ったら、私はもう一度車を飛下りて、手も背もかした....
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
、この近処だ。」 既に、駈込んで、一呼吸吐いた頃から、降籠められた出前の雨の心細さに、親類か、友達か、浅草辺に番傘一本、と思うと共に、ついそこに、目の前に、路....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
、また立顧みる、旅人同士とは品かわって、世をかえても再び相逢うすべのないような心細さが身に沁みたのであった。 かあ、かあ、かあ、かあ。 鈍くて、濁って、うら....
栃の実」より 著者:泉鏡花
に瀬をつくる、流に迷って、根こそぎ倒れた並木の松を、丸木橋とよりは筏に蹈んで、心細さに見返ると、車夫はなお手廂して立っていた。 翼をいためた燕の、ひとり地ずれ....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
覚束なく、目印ともなろうという、雑木や、川柳の生えた処は、川筋だから轟と鳴る、心細さといったら。 川筋さえ避けて通れば、用水に落込む事はなかったのだが、そうこ....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
来て、ちっとうだばれてはいますがね。」 脊筋を捻じて、台座に掛けた秋の蝶の指の細さ。 「御覧なさい。余計な耳を押立てて、垂頬で、ぶよぶよッちゃアありゃしない。....