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細やか
「細やか〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
細やかの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
れた。いつものとおり茶の間はストーヴでいい加減に暖まっていた。そして女世帯らしい
細やかさと香《にお》いとが、家じゅうに満ちていて、どこからどこまで乱雑で薄汚ない....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
ンプ》は仄暗いけれども、その光が、額から頬にかけて流れている所は、キメをいっそう
細やかに見せていた。もう時江は、自分自身でさえも、その媚《なま》めいた空気に魅せ....
「故郷を想う」より 著者:金史良
みがたえられそうもない気がする。彼女は私のはらからの中では一等器量がよくて、心も
細やかであり明朗でもあった。父が母と違って絶壁のように保守的で頑固なために、幾度....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
て、川砂の上を転がっている、川楊の蔭に入っている分流は、うす蒼くなって、青い藻が
細やかな線と紋を水面に織り出しながら、やんわりと人里を流れる小川のように、静かに....
「雪たたき」より 著者:幸田露伴
聟殿を大事にかけていると見えて、大層女らしくなり居ったナ。好いわ、それも夫婦中が
細やかなからじゃ。ハハハハ。」 「…………」 「分らぬか、まだ。よいか、わしが無....
「死者の書」より 著者:折口信夫
のが、あて人に仕える人たちの、為来りになって居た。 蓮の花に似ていながら、もっと
細やかな、――絵にある仏の花を見るような――。 ひとり言しながら、じっと見ている....
「探偵小説とは」より 著者:坂口安吾
の大ファンというような方は、さっそく、試みられて然るべし。ために愛情も亦、大いに
細やかとなろうというものである。 推理小説は本来がそんな風にして作られるのが一....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
しは皆無のようだといって、匙を投げる。 それが家族に対しては、制度と秩序とを、
細やかにむしろ厳格に、守らせていなければ気が済まなかった父であった。しかるに社会....
「越後の闘牛」より 著者:佐藤垢石
黒い肌を生漆のように艶々しくみがきあげた毛並みの下に、一|尋もあろうと思える肉が
細やかに動いている。七、八歳の男盛りの闘牛だ。 これに対する孫七牛はまだ五歳。....
「岡ふぐ談」より 著者:佐藤垢石
ころを碗に分け、橙酢を落として味あったところ、これはひどく珍味であった。汁面に、
細やかなる脂肪浮き、肉はやわらかくて鮒の肉に似て甘い。味は濃膩にして、羊肉に近い....
「魔味洗心」より 著者:佐藤垢石
醤はこれを何にたとえようか。魔味とはこの肉膚を指すのではないかと思う。上品にして
細やかな脂肪が全身に乗って淡紅の色目ざむるばかりだ。 刺身、塩焼き、照り焼き、....
「淡紫裳」より 著者:佐藤垢石
をつけ、頭に花笠のような笠をかぶって、両の手に短剣を持ち、腰はしなやかに、両脚を
細やかになよなよと踊りだすのである。踊りに伴って鳴る楽器が春にふさわしい閑雅な音....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
一体馬琴は史筆|椽大を以て称されているが、やはり大まかな荒っぽい軍記物よりは情緒
細やかな人情物に長じておる。線の太い歴史物よりは『南柯夢』や『旬殿実々記』のよう....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
らくしてから一匹産落し、とうとう払暁まで掛って九匹を取上げたと、猫のお産の話を事
細やかに説明して、「お産の取上爺となったのは弁慶と僕だけだろう。が、卿の君よりは....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
、身いっぱいに帯びながら、フランスに渡っていった。ベエコンからアントンにあてて事
細やかに教示した手紙がいまも残っている。フランス王に頑張るように伝え給え、そして....