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細る
「細る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
細るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母」より 著者:芥川竜之介
いろ手を尽し候えども、――それから何と読むのかしら? 泣き声だわ。泣き声も次第に
細るばかり、その夜の十一時五分ほど前には、ついに息を引き取り候。その時の私の悲し....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
この庭から出る。 雨は一つである。冬は合羽《かっぱ》が凍《こお》る。秋は灯心が
細る。夏は褌《ふどし》を洗う。春は――平打《ひらうち》の銀簪《ぎんかん》を畳の上....
「草枕」より 著者:夏目漱石
現象には、われもまた秒《びょう》を縮め、分《ふん》を割《さ》いて、心細さの細さが
細る。死なんとしては、死なんとする病夫《びょうふ》のごとく、消えんとしては、消え....
「野分」より 著者:夏目漱石
《かえり》みるの暇《いとま》なきが故《ゆえ》に、暮るる秋の寒きを知らず、虫の音の
細るを知らず、世の人のわれにつれなきを知らず、爪の先に垢《あか》のたまるを知らず....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
真の狂人に移ってゆくだろう) 暗中に、目を据えて焚火を見つめながら、座間は痩せ
細るような思いだった。いまに、醜猥な言葉をわめき散らすようになれば、美しいマヌエ....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
安産を聞き、今度生まれた孫は丈夫そうな男の子であると聞いたが、彼自身の食は次第に
細るばかりであった。そういう日が八月のはじめまで続いた。ついに、おまんや半蔵の看....
「弟子」より 著者:中島敦
殺伐な北声に満ちていることを。そうして、夫子がそれを咎めたまわぬのは、痩《や》せ
細るまで苦しんで考え込んだ子路の一本気を愍《あわれ》まれたために過ぎないことを。....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
、丹下左膳というあつらえむきの立会人が出て来たからな」 「おのれッ!」 刻々に
細る息であえぎながら、丹波の指先は虫のようにおののいて、いたずらに帯刀の柄《つか....
「悪夢」より 著者:豊島与志雄
とした生汗《なまあせ》である。それも私ばかりではない。誰も彼もみな、干乾びて痩せ
細るか、脂肪がたまってぶよぶよと肥るかして、溌溂とした体力を持ってる者は一人もい....
「現代忍術伝」より 著者:坂口安吾
菊松の顔、形を見れば分ることだが、泣かんばかりに悄然とうなだれて、慙愧の念、身も
細るほど全身に現れている。半平の奇怪な言葉に、ひとすじの偽りもないことは、明々白....
「一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
はどちら様でも祝儀のものですから間違いがあってはならぬ、この心配でほんとうに身も
細るようでした。 暁方からは配達、近所は籠に入れ自転車で、遠方は大八車でまわり....
「墓地展望亭」より 著者:久生十蘭
ような思いで、そのひとの姿を追い求めていたことであったろう。巴里での、あの、身も
細るような奔走と感傷。はるばるとこの荒々しいバルカンの風土の中にやって来る途中の....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
常説法教化無数億衆生爾来無量劫。」 法の声は、蘆を渡り、柳に音ずれ、蟋蟀の鳴き
細る人の枕に近づくのである。 本所ならば七不思議の一ツに数えよう、月夜の題目船....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
白のみ手にキスをまいらせつつ、汝紙ぎれ、伝えてよ、これはこれ、病みさらばえて身も
細る、エセックスよりは参りしと」こうこられては、もう拒み能わぬと彼女は感じたであ....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
よこしてくれゝば宜いにと、世間の事を知らん花魁でございますから、伊之助の事を思い
細る内に、漸々病気になりますと、松葉屋の主人は粋な人ゆえ、 主「花魁決して心配お....