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細巻
「細巻〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
細巻の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
意気な内儀《かみ》さんも偶《たま》には目についた。金縁《きんぶち》眼鏡をかけて、
細巻《ほそまき》を用意した男もあった。独法師《ひとりぼっち》のお島は、草履や下駄....
「職業婦人気質」より 著者:吉行エイスケ
? ――ありがと。 スマ子女史はワイシャツの縫目からミス・フランセのコバルトの
細巻をとりだして火をつけると、蒸気のこもった部屋に水沫《すいまつ》のように緑色の....
「赤外線男」より 著者:海野十三
しなかったけれど、内心大いに安からぬものがあった。彼は書斎のソファに身を埋めると
細巻のハバナに火を点けて、ウットリと紫の煙をはいた。彼は元々赤外線男などという不....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
も、開けずの間と呼びました方が」と鎮子は無遠慮な訂正をして、帯の間から取り出した
細巻に火を点じた。「実は、お聴き及びでもございましょうが、あの変死事件――それが....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
の雑沓の中に故人を見出した。何処ぞへ出かけるところと覚しく、茶色の中折をかぶり、
細巻の傘を持ち、瀟洒した洋装をして居た。彼は驚いた様な顔をして居る故人を片隅に引....
「同じ娘でも」より 著者:宮本百合子
よれよれになった袂の先をいじって居る。お祖母様は水色の封筒を四つと三本筆を一つ、
細巻の状紙を一つ取って「いくらだい」とおっしゃると土間の石ころを見つめながら「二....
「阿亀」より 著者:豊島与志雄
通ずる硝子戸を開けると、年上の女中が、そこの片隅で針仕事をしていた。 「ハバナの
細巻を一本くれないか。」 それを貰って、火をつけながら元の席に戻ってきた。香り....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
道女は白蝋《はくろう》のようにまっ白な女であった。ペルペチュー修道女と並べると、
細巻きの蝋燭《ろうそく》に対する大蝋燭のように輝いていた。ヴァンサン・ド・ポール....
「投手殺人事件」より 著者:坂口安吾
その一 速球投手と女優の身売り 新しい年も九日になるのに、うちつづく正月酒で頭が痛い。
細巻宣伝部長が後頭部をさすりながら朝日撮影所の門を通ろうとすると、なれなれしく近....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
夫人は、新子が傍にいることなどは、すっかり忘れたように、スリー・キャッスルの
細巻を吸いながら、綺麗なファッション・ブックを漫然とながめているのだった。 新....
「入院患者」より 著者:ドイルアーサー・コナン
うに、大ていはストローでつつんであって、ほかの種類のものに比較すると、長さの割に
細巻のものだ」 彼はそこにある四つの吸い残りをつまみ上げて、それらを懐中レンズ....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
歇跛行症だと思うのですが……」 その刹那、ウルリーケの顔が、ビリリと痙攣して、
細巻が、華奢な指の間から、滑り落ちた。 「で、最初にそれが、艇長の発作を死と誤ら....
「銀三十枚」より 著者:国枝史郎
するようなことが発見された。ある夜私は戸外から帰って来た。彼女は私の書斎にいた。
細巻|煙草を喫かしていた。煙草を支えた左手の指に、大きなダイヤが輝いていた。 「....
「けむりを吐かぬ煙突」より 著者:夢野久作
て左右の内ポケットに突込んだ私は、すこし寛いだ気持になった。すすめられるまにまに
細巻の金口を取って火を点けた。この際私に危害を加えるような、ヘマな相手でない事が....
「旗岡巡査」より 著者:吉川英治
………」 旗岡巡査は、黙って、壁の側に立った。 寝台に腰をかけている犯人は、
細巻の女煙草を紅い唇にくわえ、煙たそうに眼を細めながら、妖美な顔をよけい妖美に顰....