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「細殿〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

細殿の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
姨捨」より 著者:堀辰雄
を仰ぎ仰ぎ、読経などをしながら、履音《くつおと》をしのばせてそぞろ歩きしていた。細殿《ほそどの》の前には丁子《ちょうじ》の匂が夜気に強く漂っていた。男はそれへち....
源氏物語」より 著者:紫式部
あったので、歎息《たんそく》しながら、なお物足りない心を満たしたいように弘徽殿の細殿の所へ歩み寄ってみた。三の口があいている。女御は宴会のあとそのまま宿直に上が....
源氏物語」より 著者:紫式部
に帝が御謹慎をしておいでになるころ、源氏は夢のように尚侍へ近づいた。昔の弘徽殿の細殿《ほそどの》の小室へ中納言の君が導いたのである。御修法のために御所へ出入りす....
錦木」より 著者:宮本百合子
なごりおしげに桜の梢をふりかえりふりかえり女達は沢山かたまって薬玉のようになって細殿の暗い方に消えて行く、一番しんがりの一群の男のささきげんでつみもなく美くしい....
無月物語」より 著者:久生十蘭
暑気を避けるより、十四日の盆供《ぼんく》に伜どもの墓を賑やかに飾りたて、谷の上の細殿《ほそどの》からゆっくり見おろしてやろうという目的らしかった。予期されたよう....
私本太平記」より 著者:吉川英治
のような丑満頃、 「菊王。菊王やある」 と、奥の方で、おあるじの呼ぶ声だった。細殿の簾に、微かな灯揺らぎが窺われる。 硯筥を横に、おあるじの白い影は、いま筆....
私本太平記」より 著者:吉川英治
なめてください」 「まことに」 侍座の洞院ノ公敏が、すぐ叱りに立ったと思うと、細殿の西の廂での出会いがしら、北畠具行のすがたに、ハタとぶつかった。 「や、あな....
私本太平記」より 著者:吉川英治
ってそこの鏡蓋を開けていた。 やがてほど経て、桃井直常の声がどこかでしていた。細殿の外から内の灯影をたしかめてでもするように、 「藤どのでございますな。そこに....
私本太平記」より 著者:吉川英治
とらわれていた。 ――いつか山海の珍味や酒は客座に運び出されており、ほどなく、細殿のすだれが小姓の手で捲かれた。すると、そこには覚一法師が琵琶を抱えて坐ってい....
私本太平記」より 著者:吉川英治
て、そして羞恥らってでもいるような気配が朧な勾欄のあたりでしていた。その間には、細殿の簾が垂れている。義貞はもどかしくなり、われから立って、簾を押しはらった。簾....
私本太平記」より 著者:吉川英治
ない廻廊やうす暗い廂ノ間を通って、元の中門廊のほうへ彼が戻りかけてくると、ふと、細殿の蔭から、誰かよびとめる者があり、それは蜘蛛の巣だらけな辺りとは余りにかけは....
私本太平記」より 著者:吉川英治
主どもがへんに思って、だんだんと探ってみるに、当日、主君の師直は、女房連があゆむ細殿の簾の蔭にいて、つぶさに彼女らの品さだめを味わい、やがて遊宴のあいだには、お....