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細流
「細流〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
細流の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
う》の天鵝絨《びろうど》の羽のように美しく……一枚開くと、きらきらと字が光って、
細流《せせらぎ》のように動いて、何がなしに、言いようのない強い薫《かおり》が芬《....
「河明り」より 著者:岡本かの子
、まるで反対の方へ押し遣られるような迂曲の道を辿りながら、しかもその間に頼りない
細流を引取り育み、強力な流れはそれを馴致し、より強力で偉大な川には潔く没我合鞣し....
「春昼」より 著者:泉鏡花
緑なのも、向うの山の青いのも、偏にこの真黄色の、僅に限あるを語るに過ぎず。足許の
細流や、一段颯と簾を落して流るるさえ、なかなかに花の色を薄くはせぬ。 ああ目覚....
「若菜のうち」より 著者:泉鏡花
の影が紫の灯のように穂をすいて、昼の十日ばかりの月が澄む。稲の下にも薄の中にも、
細流の囁くように、ちちろ、ちちろと声がして、その鳴く音の高低に、静まった草もみじ....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
器店。両側の商店が、やがて片側になって、媚かしい、紅がら格子を五六軒見たあとは、
細流が流れて、薬師山を一方に、呉羽神社の大鳥居前を過ぎたあたりから、往来う人も、....
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
囀って、鼓草の綿がタイヤの煽に散った。四日町は、新しい感じがする。両側をきれいな
細流が走って、背戸、籬の日向に、若木の藤が、結綿の切をうつむけたように優しく咲き....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
今しがた渠等が渡って、ここから見えるその村の橋も、鶴谷の手で欄干はついているが、
細流の水静かなれば、偏に風情を添えたよう。青い山から靄の麓へ架け渡したようにも見....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
人がこの狂言をいたした時は、土間は野となり、一二の松は遠方の森となり、橋がかりは
細流となり、見ぶつの男女は、草となり、木の葉となり、石となって、舞台ただ充満の古....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
暗いが、駄菓子にも飴にも、鼠は着かなかった、がたりという音もなし、納戸の暗がりは
細流のような蚊の声で、耳の底に響くばかりなり。 「可恐しい唸じゃな。」と呟いて、....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
と、一面の浜田がどことなく、ゆさゆさ動いて、稲穂の分れ伏した処は幾ヶ所ともなしに
細流が蜘蛛手に走る。二三枚空が映って、田の白いのは被ったらしい。松があって雑樹が....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
った中に、かえって不断より寂しかった。 峰の落葉が、屋根越に―― 日蔭の冷い
細流を、軒に流して、ちょうどこの辻の向角に、二軒並んで、赤毛氈に、よごれ蒲団を継....
「雪霊記事」より 著者:泉鏡花
状を偲ばせます、萱葺の屋根ではありません。 伸上る背戸に、柳が霞んで、ここにも
細流に山吹の影の映るのが、絵に描いた蛍の光を幻に見るようでありました。 夢にば....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
一杯に張って、片脇に盥を抱えた……と言う方が早い。洗濯をしに来たのである。道端の
細流で洗濯をするのに、なよやかなどと言う姿はない。――ないのだが、見ただけでなよ....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
に、雲原明流先生の内弟子、けずり小僧が訪ねたのです。 それこそ、徳川の末の末の
細流は、淀みつ、濁りつ、消えつつも、風説は二の橋あたりへまで伝わり流れて、土地の....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
外套で入交って、傘をたたんだ。 時に、辻を向うに、泥脚と脛の、びしょびしょ雨の
細流に杭の乱るるがごとき中へ、刎も上げない褄をきれいに、しっとりした友染を、東京....