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細筆
「細筆〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
細筆の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
郎が抜いてかかろうとしたのを、手もない、ただのひとひねりです。 「ふざけるねえ。
細筆一本でおまんまをかせぐ祐筆のやせ腕が、お江戸自慢のおいらの相手になれるけえ。....
「道標」より 著者:宮本百合子
代は化粧台に向きなおってゆっくり化粧にとりかかった。毛のさきをぷつんと短くきった
細筆のさきに桐をやいてこしらえた軽い墨をつけて、両眉をかわりばんこにもち上げて、....
「母」より 著者:宮本百合子
るいニッケルの台ランプを灯し、雁皮《がんぴ》を横に二つ折りにたたんで綴じたのへ、
細筆で細かくロンドンにいる父への手紙を書いていた母の横顔は、なんと白くふっくりと....
「からたち」より 著者:宮本百合子
ンプが明るく灯っていて、雨戸はすっかり開いていた。母は外国にいる父へやるために、
細筆で、雁皮の綴じたのに手紙を書いている。私は眠いような、ランプが大変明るくてい....
「父の手紙」より 著者:宮本百合子
テーブルの上にそのランプを明々とつけ、その上で雁皮紙を詠草のよう横に折った上へ、
細筆でよく手紙を書いた。白い西洋封筒は軽い薄い雁皮の紙ながら、ふっくりと厚くて、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
て、硯《すずり》を引寄せ、紙を重ねて文鎮《ぶんちん》を置き、それから硯箱の中から
細筆を選んで手に取り上げたのが、いつもとは少し変っています。 いつもならば、こ....
「百姓弥之助の話」より 著者:中里介山
を使い墨はこの暮に丸ビルで三円で買って来た香風墨と云うのをおろし筆は有合せの絵筆
細筆で間に合せ、硯の水は塾生が早朝に汲み上げて呉れた井戸の若水を用い、それから棚....
「農村」より 著者:宮本百合子
って来た本もよみつくした私は、一日の中、半分私が顔を知らないうちに没した先代が、
細筆でこまごまと書き写した、戦記、旅行記、物語りの本に読みふけって居る。若しそう....
「芽生」より 著者:宮本百合子
若い絵書きの前に、私は髪を一束につかねて、じみな色のネルを着てその人の絵絹の上に
細筆を走らせる時の様に、かすかに動いて居る様な手を見ながらその話にききほれて居る....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
ょうか。 『文芸』のNの「混血児」。久しぶりでこのひとの書いたものをよみ、ちびた
細筆で不足の絵具でカスカスにかかれているスケッチを見た感じでした。小説かいていた....
「伯林の降誕祭」より 著者:岡本かの子
から持って行ったものを、一つかみにしてあとを追いました――猫の毛でつくった日本の
細筆三本、五色のつまみしかけて返して上げた。これもあとから思えばおかしな贈物。 ....
「二科狂想行進曲」より 著者:寺田寅彦
パイプをくわえて考え込んで、モンパリー、チッペラリー、ラタヽパン。そこでノアルで
細筆のフランス文字、ブルバールデトセトラ。 四 脚は一八〇プ....
「田沢稲船」より 著者:長谷川時雨
い白紙へむかって、錦子は呻吟《うな》っている日がつづいた。 墨を摺《す》って、
細筆を幾たび濡《ぬ》らしても、筆さきも硯《すずり》の岡も、乾《かわ》いて、墨がピ....
「日記」より 著者:宮本百合子
ても、ああ云うものは、書き難いな。 『中公』、「墓を発く」。自然主義の影響のある
細筆。光彩乏し。 五月九日(火曜)雨 曇 『女聖』に原稿を約束したのが辛くなる。....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
六段石段を上って高い。そこの竹垣を隔てて、角家がト○の中に(の)を大く(あり)と
細筆で書いたのを通へ向けて、掛けてある荒物|店。斜かけに、湯屋の白木の格子戸が見....