細緻[語句情報] » 細緻

「細緻〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

細緻の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
明暗」より 著者:夏目漱石
は津田が最初に考えたほどこの点において独断的な暴君ではなかった。彼女は思ったより細緻《さいち》な注意を払って、津田の心理状態を観察しているらしかった。彼女はその....
思い出す事など」より 著者:夏目漱石
余は、君、西洋人の書物を読んで、この人のは流暢《りゅうちょう》だとか、あの人のは細緻《さいち》だとか、すべて特色のあるところがその書きぶりで、読みながら解るかい....
光と風と夢」より 著者:中島敦
て了う。父親の論法が優れていて此方が負ける、というのでは毛頭ない。教義に就いての細緻《さいち》な思索などをした事のない父親を論破するのは極めて容易だのに、その容....
女肉を料理する男」より 著者:牧逸馬
うまでもなく九月八日の夜はもちろん、その以前から、イースト・エンド全体にわたって細緻《さいち》な非常線が張られ、櫛《くし》の歯を梳《す》くような大捜査が行なわれ....
学者と名誉」より 著者:夏目漱石
越権を与えるかの如き挙に出でたのは、思慮の周密《しゅうみつ》と弁別《べんべつ》の細緻《さいち》を標榜《ひょうぼう》する学者の所置としては、余の提供にかかる不公平....
灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
として屡々人に示したクレーマー出版の『ウェルタール・ウント・メンシハイト』の精巧細緻なレザーの模範的装釘も痕跡だになく亡び、此頃での大出版と云われる剣橋現代史も....
私の貞操観」より 著者:与謝野晶子
操を尊重するか。」こういう疑問を起さねばならぬほど、昔の女は自己の全生活について細緻な反省を下すことを欠いていた。女という者は昔から定められたそういう習慣の下に....
学生と教養」より 著者:倉田百三
て、感味して見るのもいい。それは人間としての視野をひろくし、道徳的同情を豊かに、細緻にするからだ。 近世倫理学史も、哲学史のように、カントに集まって、カントか....
性に眼覚める頃」より 著者:室生犀星
はなれた手つきで茶筅を執ると、南蛮渡りだという重いうつわものの中を、静かにしかも細緻な顫いをもって、かなり力強く、巧みに掻き立てるのであった。みるみるうちに濃い....
それから」より 著者:夏目漱石
て、却《かえ》って主人の神経的な局所へ肉薄して来る。自分の神経は、自分に特有なる細緻《さいち》な思索力と、鋭敏な感応性に対して払う租税である。高尚な教育の彼岸に....