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紺碧
「紺碧〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
紺碧の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「第五氷河期」より 著者:海野十三
。 そのころには、人々は、いくら大空を仰いでみても、あの澄みわたったうつくしい
紺碧の空を仰ぐことはできなかった。空は、熱砂の嵐のように、赤黒く濁っていた。そし....
「俊寛」より 著者:菊池寛
われた大洋が、なんと美しく輝いていたことだろう。十分昇り切った朝の太陽のもとに、
紺碧の潮が後から後から湧くように躍っていた。海に接している砂浜は金色に輝き、飛び....
「二、〇〇〇年戦争」より 著者:海野十三
て、あざやかな緑色の中空をつくる。 イネ州は、いまや初夏をむかえんとしている。
紺碧の空に、真赤なアカグマ国の旗がひるがえっている鉄筋コンクリート建の、背はそう....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
地方の海は、毎日同じ原色版の絵ハガキを見るような晴天がつづく。今日も朝から、空は
紺碧に澄み、海面は油を流したように凪いでぎらぎら輝く。 飛行島建設団長リット少....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
を着て行け。」 かなぐり脱いだ法衣を投げると、素裸の坊主が、馬に、ひたと添い、
紺碧なる巌の聳つ崕を、翡翠の階子を乗るように、貴女は馬上にひらりと飛ぶと、天か、....
「祇園の枝垂桜」より 著者:九鬼周造
名桜は小高いところに静かに落ちついて壮麗な姿を見せている。夜には更に美しい。空は
紺碧に深まり、山は紫緑に黒ずんでいる。枝垂桜は夢のように浮かびでて現代的の照明を....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
楯を持った酔いどれの人馬が波を蹴立てて船と競走するのかを見るような気で、透き通る
紺碧の海を熱心に見つめた。しかも深い海は依然として荒野の如く、唖のごとくに静まり....
「不周山」より 著者:井上紅梅
を現わした。 火の柱は漸次に昇り、ただ蘆灰の一山のみを残した。彼女は天が一面に
紺碧色になるのを待って、ようやく手を押してさわってみたが、掌によほどムラがあるよ....
「血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
裸身は、浴槽の中に埋もれていた。例えることが許されるなら、浴槽の中の緑色の湯は、
紺碧をなした潮であり、それに埋もれている裸体のお紅は、若い美しい人魚でもあろうか....
「初雪」より 著者:秋田滋
レル山塊の気まぐれな峯の姿を眺めたり、また近く足もとに寄せて来る静かな海の綺麗な
紺碧の水にじッと視入ったりしていた。 やがて彼女はまたしてもにっこり笑った。そ....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
麻呂!……ほら、聞いてみろ! 衛門がお内儀さんと一緒に唄をうとうとる……。 空は
紺碧に晴れ渡っている。どこかで山蝉が鳴きはじめた。 綾麻呂 夏だ!……どこかで山....
「「太平洋漏水孔」漂流記」より 著者:小栗虫太郎
だろう」 ナエーアが、踊るような足取りで、水際を飛んであるいている。珊瑚虫が、
紺碧の海水のなかで百花の触手をひらいている。そのあいだを、三尺もあるようなナマコ....
「米」より 著者:犬田卯
時か太陽が昇って、沼向うの平野はひときわ明るく黄金色に輝き出していた。風もなく、
紺碧の沼は崇厳なほど静かだった。やがて浩平一家のものは、よちよちと蟻が長い昆虫を....
「宝石商」より 著者:小川未明
のです。高いけわしい山が重なりあって、その頭を青い空の下にそろえています。また、
紺碧の海は、黒みを含んでいます。そして高い波が絶えず岸に打ち寄せているのでありま....
「手風琴」より 著者:小川未明
にか真紅に色づいた、やまうるしや、ななかまどの葉が火のように点々としていました。
紺碧に暮れていく空の下の祭壇に、ろうそくをともして、祈りを捧げているようにも見ら....