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経巻
「経巻〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
経巻の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
映って木部の姿はまたおぼろになって行った。その看板の一つに、長い黒髪を下げた姫が
経巻《きょうかん》を持っているのがあった。その胸に書かれた「中将湯《ちゅうじょう....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
意はこのひとまくらのうちにありといわぬばかりで名人は、求道弘法《ぐどうぐほう》の
経巻を頭《つむり》の下にしながら、おりから聞こゆるお山の鐘を夢の国への道案内に、....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
ずかに巻きあげられると、そこにはむらさきの小袖に茶宇の袴をつけた美少年が殊勝げに
経巻を読誦している。高島屋ァとよぶ声がしきりに聞える。美少年は市川|左団次の久我....
「魔法修行者」より 著者:幸田露伴
胎蔵界曼陀羅の外金剛部院の一尊であり、勝軍地蔵はただこれ地蔵の一変身である。大日
経巻第二に荼枳尼は見えており、儀軌真言なども伝来の古いものである。もし密教の大道....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
赴任して行って見たころの神社の内部は、そこの簾のかげにも、ここの祓い戸にも、仏教
経巻などの置かれた跡でないものはなかった。なんという不思議な教えが長いことこの国....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
無不豊足 乾地普洽 薬木並茂 其雲所出 一味之水 葎の中に日が射して、
経巻に、蒼く月かと思う草の影が映ったが、見つつ進む内に、ちらちらと紅来り、黄来り....
「死者の書」より 著者:折口信夫
百九十九部を写し終えて、千部目にとりついて居た。日一日、のどかな温い春であった。
経巻の最後の行、最後の字を書きあげて、ほっと息をついた。あたりは俄かに、薄暗くな....
「雪の宿り」より 著者:神西清
ではございませんか。そこここに散乱したお文櫃の中から、白蛇のようにうねり出ている
経巻の類いも見えます。それもやがて吹き巻く風にちぎられて、行方も知らず鼠色の中空....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
には、朱塗の経机が置いてあった。そして、その上には、紺紙金泥に、金襴の表装をした
経巻一巻と、遺書を包んだ袱紗《ふくさ》とが、置かれ、その机と、枕との間には、豊後....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
枝葉を押し拡げていた仏様側のいろいろなものは悉くこの際|打ち毀されて行きました。
経巻などは大部なものであるから、川へ流すとか、原へ持って行って焼くとかいう風で、....
「島原の夢」より 著者:岡本綺堂
ずかに巻きあげられると、そこにはむらさきの小袖に茶苧の袴をつけた美少年が殊勝げに
経巻を読誦している。高島屋とよぶ声がしきりに聞える。美少年は市川左団次の久我之助....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
この向島名物の一つに数えられた大伽藍が松雲和尚の刻んだ捻華微笑の本尊や鉄牛血書の
経巻やその他の寺宝と共に尽く灰となってしまったが、この門前の椿岳|旧棲の梵雲庵も....
「東洋文化史における仏教の地位」より 著者:高楠順次郎
でありますが、唐の開元時代に厳禁せられて終に無くなってしまった。 ところがその
経巻が三十五部四十四巻あった。それはみなシナで焼き棄てられた。それでシナにはない....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
は独居の部屋に閉じ籠り、頭を抱えて身悶えして呻吟くより外なかった。それでいながら
経巻や仏像の影を見ることには前より一層厭嫌の感情を増した。 こんなに惨めになっ....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
から、この事実を説明するためにいろいろの苦心がなされております。大乗仏教の沢山の
経巻も、人々にこの事実を開いて説き示すために出来たようなものですし、名僧知識たち....