結実[語句情報] »
結実
「結実〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
結実の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
所では割合に斤目《はかり》をよく買ってくれたばかりでなく、他の地方が不作なために
結実がなかったので、亜麻種《あまだね》を非常な高値《たかね》で引取る約束をしてく....
「想片」より 著者:有島武郎
のは、あるべき季節に咲き出ない花のようなものであるから、まことの美しさを持たず、
結実ののぞみのないものになってしまった。人々は今日今日の生活に脅かされねばならな....
「ロマネスク」より 著者:太宰治
の秋にもまた稲の穂に穂がみのり林檎も前年に負けずに枝のたおたおするほどかたまって
結実したのである。村はうるおいはじめた。惣助は予言者としての太郎の能力をしかと信....
「酒の追憶」より 著者:太宰治
食べて、そのうちにだんだん日本酒にも馴れた、という甚《はなは》だ情無い苦行の末の
結実なのであった。 小さい盃で、チビチビ飲んでも、既にかくの如き過激の有様であ....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
いる。頭の上には旨《うま》そうな菓物《くだもの》が累々《るいるい》と枝をたわわに
結実《な》っている。タンタラスは咽喉《のど》が渇《かわ》く。水を飲もうとすると水....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
なく、殊に当時水戸が仲々うんといわなかったのを、ドレゴがさんざん説きつけてやっと
結実に至ったのだった。それは水戸がエミリーを嫌っているわけではなく、水戸は結婚と....
「沓掛より」より 著者:寺田寅彦
みると、花が盛りを過ぎてすでに受胎を終わったと思われるのがある。そういうのだと、
結実した子房はちゃんと花の中心に起き直って、今まで水平の方向を向いていた柱頭が垂....
「辞典」より 著者:戸坂潤
主義はエピクロス(Epikouros)の倫理説となり、やがてストア学派の唯物論を
結実した。普通デモクリトスの場合を例にとって、唯物論は機械論(Mechanism....
「台湾の姿態」より 著者:豊島与志雄
い。その代り、マンゴーや柑橘類が季節的であるのに反して、パパイヤだけは一年中常に
結実する。数顆が熟する頃には、その上の一節には次の数顆が既に成長している。四季と....
「日本文化私観」より 著者:坂口安吾
最も屡々行われる。インスピレーションは、多く模倣の精神から出発して、発見によって
結実する。 キモノとは何ぞや? 洋服との交流が千年ばかり遅かっただけだ。そうし....
「人生における離合について」より 著者:倉田百三
淡あまり心をつながずに生きるのが最も賢いが、しかしそれではこの人生の最大の幸福、
結実が得られないのであるならば、勇ましくまともにこの人生の危機にぶつかる態度をも....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
々しくはらみ、一脈今日の世界に通じる悲劇発祥の地、人間の悲しい定めの一ツを現実に
結実した史地と見ては不可であろうか。 ★ 私は伊勢へ旅立つ....
「クリティシズムと認識論との関係」より 著者:戸坂潤
文化の意識」は、もはや個々の諸文化の夫々の付属物ではなく、そういうものから発達し
結実した夫々の或る代表者的エッセンスが集結し独立化し単位化したものとして、或る独....
「長崎の鐘」より 著者:永井隆
風で吹きとばされた麦が速やかに至る所に芽をふいた(これは翌年普通の麦と同時に開花
結実して、その実りは普通のものと大差なかった)。とうもろこしも発芽した。これは冬....
「穀神としての牛に関する民俗」より 著者:中山太郎
こにはこの三つを押しくるめて概説する。 古代の民俗は、穀物を播種すると、繁茂し
結実するのを、直ちに自分達の生死を類推して、これを穀物の生死と考えたのである。発....