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「結綿〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

結綿の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
吉原新話」より 著者:泉鏡花
紅入友染の薄いお太鼓を押着けて、小さくなったが、顔の明い、眉の判然した、ふっくり結綿に緋の角絞りで、柄も中形も大きいが、お三輪といって今年が七、年よりはまだ仇気....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
のまま海の底へお引取りになって、現に、姉上の宮殿に、今も十七で、紅の珊瑚の中に、結綿の花を咲かせているのではないか。 男は死ななかった。存命えて坊主になって老....
半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
は、新しい感じがする。両側をきれいな細流が走って、背戸、籬の日向に、若木の藤が、結綿の切をうつむけたように優しく咲き、屋根に蔭つくる樹の下に、山吹が浅く水に笑う....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
う口だが芥溜に水仙です、鶴です。帯も襟も唐縮緬じゃあるが、もみじのように美しい。結綿のふっくりしたのに、浅葱鹿の子の絞高な手柄を掛けた。やあ、三人あると云う、妾....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
立つ、それが舞台。 取巻いた小児の上を、鮒、鯰、黒い頭、緋鯉と見たのは赤い切の結綿仮髪で、幕の藤の花の末を煽って、泳ぐように視められた。が、近附いて見ると、坂....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
を捜すように目で追って、 「中坂下からいらっしゃいます、紫|鹿子のふっさりした、結綿のお娘ご、召した黄八丈なぞ、それがようお似合いなさいます。それで、お袴で、す....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
幾年来、馴染も深く、ほとんど親類づき合いになっている。その都度秘蔵娘のお桂さんの結綿島田に、緋鹿子、匹田、絞の切、色の白い細面、目に張のある、眉の優しい、純下町....
絶景万国博覧会」より 著者:小栗虫太郎
お定まりの天候と云うものは、また妙に、人肌や暖もりが恋しくなるものである。まして結綿や唐人髷などに結った娘達が、四五人|雪洞の下に集い寄って、真赤な桜炭の上で手....
」より 著者:上村松園
り、それが関東と関西では、また別々であるので、髷の名称ほど種々雑多なものはない。結綿、割唐子、めおと髷、唐人髷、蝶々、文金高島田、島田崩し、投島田、奴島田、天神....
深川女房」より 著者:小栗風葉
、二十にはまだなるまいと思われるが、それにしても思いきってはでな下町作りで、頭は結綿にモール細工の前※し、羽織はなしで友禅の腹合せ、着物は滝縞の糸織らしい。 「....
乳を刺す」より 著者:邦枝完二
十九だったね」 「はい、厄年でございます」 父親の声に、丁寧に頭を下げたのは、結綿の髪に、桃色の手絡をかけた、姉に似たキリョウよし、しかもなかなかのしっかり者....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
切って引上げると、びっしょり舷へ胸をのせて、俯向けになったのは、形も崩れぬ美しい結綿の島田|髷。身を投げて程も無いか、花がけにした鹿の子の切も、沙魚の口へ啣え去....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
に言葉はないので……こう云ってくれたのを、夢か、と顔を上げて見ると、浅葱の切で、結綿に結った、すずしい、色の白い……私とおなじ年紀ごろの、ああ、それも夢のような....
式部小路」より 著者:泉鏡花
思うと、向うから――お夏さん。 ちと柄がかわり過ぎた。私、目についているのは、結綿に鹿の子の切、襟のかかった衣に前垂がけで、絵双紙屋の店に居た姿だ。 先刻の....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
いらっしゃいまし。」 すっと、そこへ、友染模様が浮出たと見ると、店口の敷居へ、結綿島田が突伏した。 「やあ、これは、これはどうも、……何分どうぞ、唯今、はじめ....