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「絞り出す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

絞り出すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
土曜夫人」より 著者:織田作之助
せた白い素肌が、蛇のようにくねると、そのくぼみに汗が汗ばみ、女の体臭を男の体臭が絞り出すような夏の夜の踊りに、体の固い若いダンサーのステップもいつか粘るのだった....
老妓抄」より 著者:岡本かの子
に見せたりした。 そういう場合、未成熟《なま》の娘の心身から、利かん気を僅かに絞り出す、病鶏のささ身ほどの肉感的な匂いが、柚木には妙に感覚にこたえて、思わず肺....
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
唇をゆがめながら言った。 「そりゃ容易ならぬことじゃ」と、千枝太郎もはらわたから絞り出すような溜息をついた。「それに就いてわしも思い当たることがある。子細はこう....
職工と微笑」より 著者:松永延造
り、唇や鼻や眼の球が冷たくなって行くのを感じた。 「ミサ子さん!」私は思い切って絞り出すような声をして彼の女を呼んだ。ああ、実にその時、その瞬間、ミサ子の眼は静....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
とがねえとも限らねえ。どっちにしても、親父の小左衛門という奴から何かの手がかりを絞り出すよりほかはあるめえ。その積りで根よく見張っていろ」 「ようがす」と、徳次....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
いけないとたとえ遠くからでも無理にも真佐子を眺めて敵愾心やら嫉妬やら、憎みやらを絞り出すことによって、意力にバウンドをつけた。 古池には出来損じの名金魚がかな....
」より 著者:徳田秋声
下にちろちろ火を炊きつけていた。 「今夜らしいんですよ。」 お銀は眉を歪めて、絞り出すように言った。 「なかなかそんなことじゃ出る案じはないと思うが、でも産婆....
コーヒー哲学序説」より 著者:寺田寅彦
ひとつまみちょっぴり入れたのを熱い牛乳の中に浸して、漢方の風邪薬のように振り出し絞り出すのである。とにかくこの生まれて始めて味わったコーヒーの香味はすっかり田舎....
大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
如く思えて、やるせなき暑さではなく心は常に晴々としていた。要するに日本の夏位汗を絞り出す空気はないようだ。殊に九月の初め頃の残暑の汗は、油汗といって皮膚の表面は....
小さな出来事」より 著者:寺田寅彦
だそれだけでこのような不思議な印象を与えたのだろうか。 嗄れた声に力を入れて、絞り出すように云った「どうぞ」という言葉が、彼の胸から直ちに自分の胸へ伝わるよう....
想い出」より 著者:佐藤垢石
うな、男竹の延べ竿であった。 『竿に、手をかけちゃいけない!』 老人は、咽から絞り出すような声で私を叱った。そして、ひったくるように私の手から竿を取ったのであ....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
の光りはまだ其のあたりを紅く染めていた。 「思えば思えば悼ましい。」と、小坂部は絞り出すような溜め息をついた。「これもみな父上のおそろしい罪業じゃ。」 「折角の....
高野豆腐」より 著者:北大路魯山人
ものであればあるほど手際を要するから、やわらかいものの時には注意の上に注意をして絞り出すようにしなくてはならない。炭酸の気のなくなるまで絞らねばならないのだから....
」より 著者:吉川英治
んな事をしても、苛税に骨を削らなければならぬ。下ほどそれは辛くなる。出ないものを絞り出す苦悩なのだ。――ところで、そういうお上と下のあいだに立っているのは誰だ?....
青い風呂敷包」より 著者:大倉燁子
んだのか愕いたのか、立ち竦んだまま、少時は身動きもしなかったが、やがて、咽喉から絞り出すような声で、 「しばらくでしたわねえ」とにっこり笑った。その一言で彼は有....