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「絡う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

絡うの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
新世帯」より 著者:徳田秋声
この三、四日、何だか家中引っ掻き廻されているような、一種の不安が始終|頭脳に附き絡うていたが、今夜の女の酒の飲みッぷりなどを見ると、一層不快の念が兆して来た。ど....
春昼」より 著者:泉鏡花
懐しがらせるより、一目見た男を魅する、力広大。少からず、地獄、極楽、娑婆も身に附絡うていそうな婦人、従うて、罪も報も浅からぬげに見えるでございます。 ところへ....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
結び目に手を掛け、思慮す)が、解かんでも可かろう。……最初に見た目はどこまでも附絡う。(美女に)貴女、おい、貴女、これを恐れては不可ん、私はこれあるがために、強....
紅玉」より 著者:泉鏡花
。されどおのが目を怪む風情。少しずつ、あちこち歩行く。歩行くに連れて、烏の形動き絡うを見て、次第に疑惑を増し、手を挙ぐれば、烏等も同じく挙げ、袖を振動かせば、斉....
みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
しろ、勝手だが、死ぬのに一人死ねないで、未練にも相手の女を道づれにしようとして附絡うのは卑劣じゃあないか。――投出す生命に女の連を拵えようとするしみったれさはど....
妖僧記」より 著者:泉鏡花
ど旬日前よりにして、美人が外出をなすに逢うては、影の形に添う如く絶えずそこここ附絡うを、お通は知らねど見たる者あり。この夕もまた美人をその家まで送り届けし後、杉....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
して、青い顔の目ばかり樹の幹から出した処は、いよいよ似ている。 柳の影を素膚に絡うたのでは、よもあるまい。よく似た模様をすらすらと肩|裳へ、腰には、淡紅の伊達....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
、客は年の頃二十八九、眉目秀麗、瀟洒な風采、鼠の背広に、同一色の濃い外套をひしと絡うて、茶の中折を真深う、顔を粛ましげに、脱がずにいた。もしこの冠物が黒かったら....
黒百合」より 著者:泉鏡花
んだ。その瀟洒な風采は、あたかも古武士が鎧を取って投懸けたごとく、白拍子が舞衣を絡うたごとく、自家の特色を発揮して余あるものであった。 勇美子は旧の座に直って....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
、雪に、糸|一条も懸らぬか、と疑えば、非ず、ひたひたと身に着いた霞のような衣をぞ絡う。 と見ると、乳の辺、胸へ掛けて、無慚や、颯と赤くなって、垂々と血に染まっ....
春昼後刻」より 著者:泉鏡花
、それ美人の持物。 散策子は一目見て、早く既にその霞の端の、ひたひたと来て膚に絡うのを覚えた。 彼処とこなたと、言い知らぬ、春の景色の繋がる中へ、蕨のような....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
一人旅の山道に、雨宿りをする蔭もない。……ただ松の下で、行李を解いて、雨合羽を引絡ううちも、袖を絞ったというのですが。――これは、可心法師が、末森の古戦場――今....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
に、土耳古人が狙って縫打に打つんだが、弾丸の煙が、颯、颯と、薄絹を掛けて、肉線を絡うごとに、うつくしい顔は、ただ彫像のようでありながら、乳に手首に脈を打つ。――....
知々夫紀行」より 著者:幸田露伴
したるを、白布もて総て包めるものありて、何とも悟り得ず。打見たるところ譬えば糸を絡う用にすなる※子というもののいと大なるを、竿に貫きて立てたるが如し。何ぞと問う....