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絨
「絨〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
絨の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「影」より 著者:芥川竜之介
会社の――」
卓子《テーブル》の上にはその次に、指環の箱が二つ出て来た。白天鵞
絨《しろびろうど》の蓋を明けると、一つには真珠の、他の一つには土耳古玉《トルコだ....
「彼 第二」より 著者:芥川竜之介
ない。……時にこれを君に見せたかしら?」
彼は机の抽斗《ひきだし》から白い天鵞
絨《びろうど》の筐《はこ》を出した。筐の中にはいっているのは細いプラティナの指環....
「老年」より 著者:芥川竜之介
る。床を前に置炬燵《おきごたつ》にあたっているのが房さんで、こっちからは、黒天鵞
絨《くろビロウド》の襟のかかっている八丈の小掻巻《こがいまき》をひっかけた後姿が....
「路上」より 著者:芥川竜之介
た》はまず三人の客を病院の応接室へ案内した。そこはこの種の建物には珍しく、窓掛、
絨氈《じゅうたん》、ピアノ、油絵などで、甚しい不調和もなく装飾されていた。しかも....
「たね子の憂鬱」より 著者:芥川竜之介
足袋《たび》、食卓《テエブル》掛、ナプキン、レエス、……
「敷物。畳《たたみ》、
絨毯《じゅうたん》、リノリウム、コオクカアペト……
「台所用具。陶磁器類、硝子《....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
いすがるごとくさっと来て、おやと思う鼻の先へ一文字に舞い上ったのは、今度も黒天鵞
絨《くろびろうど》の翅の上に、青い粉を刷いたような、一対の烏羽揚羽なのです。その....
「夢」より 著者:芥川竜之介
しの制作は捗《はか》どらなかった。わたしは一日の仕事を終ると、大抵《たいてい》は
絨氈《じゅうたん》の上にころがり、頸すじや頭を揉《も》んで見たり、ぼんやり部屋の....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
てていた。
枝に残った枯葉が若芽にせきたてられて、時々かさっと地に落ちた。天鵞
絨《ビロード》のように滑かな空気は動かないままに彼れをいたわるように押包んだ。荒....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
星のように輝いていた。 じろりと視めて、莞爾して、蒲団に乗ると、腰が沈む。天鵝
絨の括枕を横へ取って、足を伸して裙にかさねた、黄縞の郡内に、桃色の絹の肩当てした....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
六十二三の、気ばかり若い弥次郎兵衛。 さまで重荷ではないそうで、唐草模様の天鵝
絨の革鞄に信玄袋を引搦めて、こいつを片手。片手に蝙蝠傘を支きながら、 「さて……....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
の、と雪に顔を見合わせたまう。 見れば島田|髷の娘の、紫地の雨合羽に、黒|天鵝
絨の襟を深く、拝んで俯向いた頸の皓さ。 吹乱す風である。渋蛇目傘を開いたままで....
「橋」より 著者:池谷信三郎
。彼女の胸をこんなに柔かいと思ったことはない。 切子硝子がかすかな音を立てて、
絨氈の敷物の上に砕け散った。大事そうに捧げていた彼女の両手がだらりと下った。彼女....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
代へすべり落ちた。そこへ幸いにも来合せたのは或先輩の彫刻家だった。彼は不相変天鵞
絨の服を着、短い山羊髯を反らせていた。僕は椅子から立ち上り、彼のさし出した手を握....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
ーはナポレオンをちょっと見た。馬車に乗って、黄鼬の大きな長衣を着こみ、頭には天鵞
絨の帽子を戴き、鳥の羽がさがりて顔もほとんど見えないばかりであった。この外にフン....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
お入んなさい、御苦労様でした。」と落着いて格子戸を潜ったが、土間を透すと緋の天鵝
絨の緒の、小町下駄を揃えて脱いであるのに屹と目を着け、 「御覧、履物があるじゃあ....