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絨緞
「絨緞〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
絨緞の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「什器破壊業事件」より 著者:海野十三
必ず失敗の虞れなく完全に壊れてしまうのだった。もっともその煉瓦のうえには、立派な
絨緞が敷いてあったが、それは小さくて、本棚の下は煉瓦だけがむき出しになっていた。....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
る、やや急傾斜の階梯がかっちりと重々しく落着いた階段を見せている。錆びた朱いろの
絨緞を敷きつめたところどころに、外国製らしい獣皮の剥製が置いてあり、石膏の女神像....
「深見夫人の死」より 著者:岡本綺堂
が、先生も奥さんもみな壮健で、二階の十畳の応接室へ通された。そこは日本の畳の上に
絨緞を敷いて、椅子やテーブルを列べてあるのであった。 やがて若い女が茶を運んで....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
ある、うつくしい部屋に臥《ね》かされていた。黄色い絹の天蓋に、和※《ホータン》の
絨緞《じゅうたん》。一見して、活仏《げぶつ》の部屋であるのが分る。すると、西蔵《....
「奇巌城」より 著者:菊池寛
眺めていたが、実に悠々と落つき払って、帽子をかぶり、紙切と二本の藁くずとを拾い、
絨緞の上についた足跡を消して露台に近づき、再び少女たちの方を振り向いて丁寧に頭を....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
上に置かれてある花は、五月に咲くというトリテリヤである。温室花に相違ない。床には
絨緞が敷かれてある。やはり昆虫の模様があり、その地色は薄緑である。 それは黒檀....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
は勝った。
逃げた敵はもうちりぢりに野原に散らばった。
玉座は空しく残っていて、
絨緞にくるまれながら、
微かに見える宝物が所狭きまで置いてある。
己達はここで立....
「蚤」より 著者:斎藤茂吉
年時分の話で、僕は浅草の三筋町に住んでいた。その家(浅草医院といった)の診察室に
絨緞が敷いてあったが、その
絨緞を一寸めくると、蚤の幼虫も沢山つかまえることが出来....
「人間失格」より 著者:太宰治
電車に乗ると車掌がおそろしく、歌舞伎座へはいりたくても、あの正面玄関の緋《ひ》の
絨緞《じゅうたん》が敷かれてある階段の両側に並んで立っている案内嬢たちがおそろし....
「黄灯」より 著者:田中貢太郎
は二人の看護婦が椅子に腰をかけたなりに眠っていた。また榻の脚下になったほうには、
絨緞の上に蒲団を敷いて五六人の男が坐っていたが、これも俯向いたり、後の壁に寄っか....
「クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
!」 居間というのは襤褸の帷幄の背後になっている空間であった。その老爺は階段の
絨緞を抑えて置く古い鉄棒で火を掻き集めた。そして、持っていた煙管の羅宇で燻ってい....
「乾杯」より 著者:豊島与志雄
――ここにも、俺の決意を待ってるものが一つある。も一回やるか。 見廻しますと、
絨緞からはずれた床板に、まだ、ちらちらと光る細かい破片が散り残っていました。 ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
また、鉄板の腰衣をまとった男女の大理石像もあった。人々は足音も聞えないほど柔かな
絨緞《じゅうたん》の上を歩いていった。そしてある一つの広間にはいると、そこは真昼....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ブールジョアだぜ!」 ある夕方、やや褪《あ》せた温《あたた》かい色彩の東方産の
絨緞《じゅうたん》のような柔らかい空が、薄暗い都会の上に広がってる時、クリストフ....
「自由人」より 著者:豊島与志雄
の上の陶器類、戸棚の中にぴかぴか光ってる小筥類、それから卓子や椅子やクッションや
絨緞など、どれもこれも、今時としては立派なものではあるだろうが、謂わば、どこにで....