絵日傘[語句情報] » 絵日傘

「絵日傘〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

絵日傘の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
ア、秋」より 著者:太宰治
海。と書かれてある。 秋の海水浴場に行ってみたことがありますか。なぎさに破れた絵日傘が打ち寄せられ、歓楽の跡、日の丸の提灯《ちょうちん》も捨てられ、かんざし、....
狂言の神」より 著者:太宰治
》にして置いて死ぬのだ。倹約しなければいけない、と生れてはじめてそう思った。花の絵日傘をさして停車場へいそいだのである。停車場の待合室に傘を捨て、駅の案内所で、....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
から漕ぎもどして来る渡し船にも、白い扇や手拭が乗合のひたいにかざされて、女の児の絵日傘が紅い影を船端の波にゆらゆらと浮かべていた。 その一と群れがこっちの岸へ....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
違ってゆく。 所は三条大橋、前には東山、見るものは大津牛、柴車、花菖蒲、舞妓と絵日傘――京の景物はすべてここに集まった。(明治42・6) 信濃の奥にふみ迷っ....
菜の花」より 著者:小島烏水
って見える遠山の色、悪くはおもわぬコントラストだ、そしてその黄色い海の内を、赤い絵日傘の娘が通る」と言って、大阪の自然の誇りにされたが、東京付近では、そういう自....
あひると猿」より 著者:寺田寅彦
来た浴衣姿の青年の片手にさげていたのも、どうもやはり「千曲川のスケッチ」らしい。絵日傘をさした田舎くさいドイツ人夫婦が恐ろしくおおぜいの子供をつれて谷を見おろし....
谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
右に横切って、石ばかりの涸沢を行くと、蒼黒い針葉樹に交って、白樺の葉が、軟らかに絵日傘に当るような、黄色い光を受けて、ただ四月頃の初々しい春の感じが、森の空気に....
曲馬団の「トッテンカン」」より 著者:下村千秋
ると、今、竹わたりの芸をやっているところです。玉虫色の服をきた美しい女が、片手に絵日傘を持ち、すらりとした足をしずかにすべらせようとしています。二|丈もあろうと....
画筆に生きる五十年」より 著者:上村松園
りますと、閉じた目の前に美しいさまざまな色彩が浮かぶ、昔見た美しいとじ糸のついた絵日傘が浮かぶ、いつか見た絵巻物が鮮やかに展開する。そうしていつかしら私はぐっす....
随筆 新平家」より 著者:吉川英治
夜みたいに、デザインが凝らしてある。その一、二例。たとえば電燈の笠代りに、小さい絵日傘を逆さにかぶせてある。床の間の壁は、簾でふさぎ、簾に版画か何か懸けたりして....
大岡越前」より 著者:吉川英治
さした。 ――すると、その門や、あたりの様とは、余りにもふさわしくない艶やかな絵日傘が、門の蔭から、牡丹の咲くように、ぱちんと開いた。 「……おや?」 と、....
それから」より 著者:夏目漱石
《もったい》ない位な容色《きりょう》だが、何処で買ったものか、岐阜《ぎふ》出来の絵日傘を得意に差していた。 尤《もっと》もその日は大変な好い天気で、広い芝生の....