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「絵絹〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

絵絹の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
崋山は書斎に通ると、はたしてこう言った。見れば風呂敷包みのほかにも紙に巻いた絵絹《えぎぬ》らしいものを持っている。 「お暇なら一つ御覧を願いましょうかな。」....
草枕」より 著者:夏目漱石
人事風光をありのままなる姿として、もしくはこれをわが審美眼に漉過《ろくか》して、絵絹《えぎぬ》の上に移したものに過ぎぬ。花が花と見え、水が水と映り、人物が人物と....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
もなく勿論見事でもない。多分は名もない絵工が内職に描いたのであろう。併し大きさは絵絹が勿体ないほど大きい、姿は女の立った所である、何も別に取り所とてはないが、唯....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ひどく喜んで、自分の居間として貸して貰った離れ座敷を画室として、ここでゆっくりと絵絹や画仙紙をひろげることになると、伝兵衛も自分の家の屏風や掛物は勿論、心安い人....
青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
も残っていました。してみると、かの二匹の蟹が文阿のあき巣へ忍び込んで、その十蟹の絵絹の上を踏み荒らしたように思われます。 それから一週間ほど過ぎて、文阿と半兵....
亮の追憶」より 著者:寺田寅彦
であるが、そういう方面の春田居士は私の頭にほとんど残っていない。 わくに張った絵絹の上に山水や花鳥を描いているのを、子供の私はよくそばで見ていた。長い間見てい....
大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
初の先生は、その箕面の滝と殆ど同じぐらいの温順さにおいて紅毛氈の上へ端然と坐して絵絹に向っていた。そして私のために一本の竹を描いて見せた。 今、西洋人が日本画....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
るんじゃあないけれど、あれだけ有名な方の絵が、このくらいな事が出来なくっちゃ。」絵絹に、その面影が朦朧と映ると見る間に、押した扉が、ツトおのずから、はずみにお妻....
芽生」より 著者:宮本百合子
懸命に話す若い絵書きの前に、私は髪を一束につかねて、じみな色のネルを着てその人の絵絹の上に細筆を走らせる時の様に、かすかに動いて居る様な手を見ながらその話にきき....
異質触媒作用」より 著者:寺田寅彦
も両方から互いに接近し模倣し入乱れて来ている。それだのにそうかと云って、洋画家で絵絹へ油絵具を塗る試みをあえてする人、日本画家でカンバスへ日本絵具を盛り上げる実....
北斎と幽霊」より 著者:国枝史郎
歪めながら会心の笑を洩らした時には、かえって寂しく悲しげに見えた。 クルクルと絵絹を巻き納めると用意して置いた白木の箱へ、静かに入れて封をした。 どうやら安....
田沢稲船」より 著者:長谷川時雨
紅《べに》とが解けあったところを、指のさきに掬《すく》いとると、傍《かたわら》の絵絹《えぎぬ》の上へ、くるりと、女の腰の輪かくを一息に丸く描いて、その次には、上....
作画について」より 著者:上村松園
姿をみて、全くこれは人生の花ざかりであると感じました。 そこで、その日の光景を絵絹の上へ移したのですが、華やかな婚礼の式場へのぞもうとする花嫁の恥ずかしい不安....