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絶えて
「絶えて〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
絶えての前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
板蔀《いたじとみ》や蒲簾《かますだれ》の後ろでは、町じゅうの人がことごとく、死に
絶えてしまったかとさえ疑われる。――
猪熊《いのくま》のばばの言ったように、....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
った中に、黄金《こがね》の釵子《さいし》が怪しげな光を放って居っただけじゃ。予は
絶えて久しい対面の嬉しさに、『ようこそ見えられた』と声をかけたが、姫君は悲しげな....
「じゅりあの・吉助」より 著者:芥川竜之介
して刑場へ降り注いだ。再び天が晴れた時、磔柱の上のじゅりあの・吉助は、すでに息が
絶えていた。が、竹矢来《たけやらい》の外にいた人々は、今でも彼の祈祷の声が、空中....
「影」より 著者:芥川竜之介
際に立って外を見ていたのも、――おれの妻を、――房子を――」
彼の言葉は一度途
絶えてから、また荒々しい嗄《しわが》れ声になった。
「お前だろう。誰だ、お前は?....
「黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
の身に万一の事でもございましたら、稲見の家は明日《あす》が日にも世嗣《よつ》ぎが
絶えてしまうのでございます。そのような不祥がございませんように、どうか茂作の一命....
「藪の中」より 著者:芥川竜之介
ったのでしょう。やっとあたりを見まわした時には、夫はもう縛られたまま、とうに息が
絶えていました。その蒼ざめた顔の上には、竹に交《まじ》った杉むらの空から、西日が....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
内に、日本橋の新蔵の家へ奉公する事になりましたから、それぎりお島婆さんとも交渉が
絶えてしまいました。そう云うあの婆の所へ、どうしてまたお敏が行くようになったかは....
「或る女」より 著者:有島武郎
来た。葉子はあわててあたりを見回したが、もうそこいらには散歩の人足《ひとあし》も
絶えていた。けれども葉子は船室に帰る気力もなく、右手でしっかりと額を押えて、手欄....
「或る女」より 著者:有島武郎
りした。
岡の来た時だけは、葉子のきげんは沈むような事はあっても狂暴になる事は
絶えてなかったので、岡は妹たちの言葉にさして重きを置いていないように見えた。
....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
んだ。
夫婦はかじかんだ手で荷物を提《さ》げながら小屋に這入った。永く火の気は
絶えていても、吹きさらしから這入るとさすがに気持ちよく暖《あたたか》かった。二人....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
。 その後君からは一度か二度問い合わせか何かの手紙が来たきりでぱったり消息が途
絶えてしまった。岩内から来たという人などに邂うと、私はよくその港にこういう名前の....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
している。まだいくらか誠実が残っていたのはお前に取って何たる幸だったろう。お前は
絶えて久しく捨ておいた私の方へ顔を向けはじめた。今、お前は、お前の行為の大部分が....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
した。絶壁の松も前に変らず、こうこうと枝を鳴らせています。が、杜子春はとうに息が
絶えて、仰向けにそこへ倒れていました。 杜子春の体は岩の上へ、仰向けに倒れてい....
「狂女」より 著者:秋田滋
。兵士たちはあの女をどうしたのだろう。どこへ連れていってしまったのだろう。それは
絶えて知るよしもなかった。 それから、夜となく昼となく雪が降りつづく季節が来て....
「寡婦」より 著者:秋田滋
とをお話しするのを、もう何遍となくお聞きになったことがあるでしょう。あの家も今は
絶えてしまいました。私はその一家の最後の三人の男を知っておりました。三人が三人、....