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絶体絶命
「絶体絶命〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
絶体絶命の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「保吉の手帳から」より 著者:芥川竜之介
って見ると、時計の針はその間《あいだ》にまだ三分しか動いていなかった。
保吉は
絶体絶命《ぜったいぜつめい》になった。この場合|唯一《ゆいいつ》の血路《けつろ》....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
縮めても、お敏は人手に渡さないと、憎々しく嚇《おど》す事でした。こうなるとお敏も
絶体絶命ですから、今までは何事も宿命と覚悟をきめていたのが、万一新蔵の身の上に、....
「老妓抄」より 著者:岡本かの子
と、何か不明の牽引力の為めに、危険と判り切ったものへ好んで身を挺《てい》して行く
絶体絶命の気持ちとが、生れて始めての極度の緊張感を彼から抽《ひ》き出した。自己|....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
原へ行くよりほかはない、いやでも八橋のところへ行って頼むよりほかはない。栄之丞も
絶体絶命でそう決心した。 去年の暮れに次郎左衛門が不意に押しかけて来て、八橋が....
「鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
っていて、僕の両腕の急所を、女とは思えぬ力でもってグッと締めつけているのだった。
絶体絶命! 僕はこの女のため、金に変えられて仕舞う運命なのだろうか? 秀蓮....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
で、じきに苦悶の色を見せはじめた。それからむやみに水を掻き裂きはじめた。とうとう
絶体絶命の暴れ方をしだした。小初は物馴れた水に溺れかけた人間の扱い方で、相手に纏....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
、主人も困った。これは飛んでもないことをしたと、いまさら悔んでももう遅い。あわや
絶体絶命の鍔際になったときに、伜の兄が弟に眼くばせをして、素知らぬ顔でその竈に火....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
石、八千人のために、雨乞の犠牲になりましょう! 小児のうちから知ってもおろうが、
絶体絶命の旱の時には、村第一の美女を取って裸体に剥き…… 百合 ええ。(と震える....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
って襲いかかって来た。そこで少年は必死に逃げたが、遂に崖のところに追いつめられて
絶体絶命となったので、已むなく習い覚えた柔道の手でナイフを奪いとりざま、相手をつ....
「唇草」より 著者:岡本かの子
べて見せましょう」 千代重は掌の上へ開けた口を臨ましてちらりと栖子を見上げた。
絶体絶命の表情をしていた栖子の眼の色がキラリと光った。あわや持って行きかけた千代....
「ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
なって、おっ払われたんだから独じゃこのホテルの食堂へは入れないのよ。 小田島は
絶体絶命という気がした。 ――じゃ、まあ、僕と一緒に来給え。 すると女は急にあ....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
コンと座って「サー官員サン写してもらうぞえ」と腮を突出し、両手を膝の上に重ねた。
絶体絶命、モデルの押売、今更|厭ともいえない。スケッチブックを出して簡単な鉛筆写....
「勝ずば」より 著者:岡本かの子
母親は慄えて念仏を唱えている。みな思わずにじり寄って政枝の顔を見詰めた。多可子は
絶体絶命の気持ちで袖を掻き合わせ、眼を瞑っていた。すぐ表通りをハッキリと、 「歓....
「扉の彼方へ」より 著者:岡本かの子
たことがありません。逞ましい雄獅子が自分と妻の致命的な傷口を嘗め労わりつつ呻く、
絶体絶命の呻きです。私の身体はぶるぶると慄えました。ここまで苦しんだなら、いくら....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
い気持に飜弄されながら坐禅を続けた。続けざるを得なかったのだ。富士と自分は、いま
絶体絶命の試錬を受けつつあるのだ。この先、どうなって行くのか、一幕々々が命の底か....