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絶入
「絶入〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
絶入の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「魔像」より 著者:蘭郁二郎
重そうにゆるやかな襞をうって垂下っている中に、小さい赤燈が、ぼんやりと、いまにも
絶入りそうな弱い光の輪を描いていた。 「中学時代の友だちっていうものは懐しいね、....
「蝱の囁き」より 著者:蘭郁二郎
きく見開かれあらぬ部屋の隅を睨んでいたが、やがて私たちに気がついたのであろうか、
絶入るような、低い、薄い笑いを見せた。その時、わずかに綻んだ唇の間から真赤な残り....
「平凡」より 著者:二葉亭四迷
ね。」 「だってえ……あら、彼様《あんな》に啼てる……」 と、折柄《おりから》
絶入るように啼入る狗《いぬ》の声に、私は我知らず勃然《むッくり》起上ったが、何だ....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
こうまで迷うたやら、堪忍しておくれや。」 とて、はじめて、はらはらと落涙した。
絶入る耳に聞分けて、納得したか、一度は頷いたが、 「私は、私は、御寮人、生命が惜....
「鱗粉」より 著者:蘭郁二郎
っと蒼白い仄な光りと共に、それが隠し絵のように、浮び出るのであった。 蛍火が、
絶入るばかりに蒼白かったせいか、その美しい貌だちをもった、まだ十七八の少女の顔が....
「怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
権威も、女子の謹慎も、共に忘れて了ったのであった。 「誰そ、早う……あ……もう、
絶入るばかりじゃ。誰そ来てたもれ」 常ならば次の間の笹尾が真先に起きて来るもの....
「P丘の殺人事件」より 著者:松本泰
いいか、少しも分らない。……何も彼もみんな私が悪かったのですよ」霎時してエリスは
絶入るような低い声で云った。 「ビアトレスさんがパーク旅館に監禁された事といい、....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
い。礫《つぶて》のような雨が頬を打って、見上げる邸中の大木が梢小枝を揺り動かして
絶入るように※《もが》くところ、さながら狂女の断末魔――時折、甚右衛門の声が闇黒....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
もその左の方を、しっかと取ってお若は思わず、 「ああ、厭だっていうんだもの、」と
絶入るように独言をした。あわれこうして、幾久しく契を籠めよと、杉が、こうして幾久....
「活人形」より 著者:泉鏡花
されたり。かの探偵に逢うまでは、束の間欲しき玉の緒を、繋ぎ止めたや繋ぎ止めたやと
絶入る心を激まして、幸いここが病院なれば、一心に駈け込みし。その後は存ぜずと、呼....
「失うた帳面を記憶力で書き復した人」より 著者:南方熊楠
まい、これでも銀《かね》にならぬかと、空嘯いておわしければ、家城大いに肝を潰し、
絶入《ぜつじゅ》するほど我《が》を折りけり。まことに羅山の記臆古今に稀なり。『古....