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絶望的
「絶望的〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
絶望的の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
れてしまうじゃないの。」
その切れ切れなことばと共に、次郎の心には、おのずから
絶望的な勇気が、わいてくる。血の色を失った彼は、黙って、土にひざをつきながら、冷....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
方で渡を殺してしまってやる。」――涙がなくて泣いているあの女の目を見た時に、己は
絶望的にこう思った。しかもこの己の恐怖は、己が誓言《せいごん》をした後《あと》で....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
のが、持って生まれた因縁《いんねん》かも知れない。――そんな事がただ彼女の心へ、
絶望的な静かさをのしかからせたばかりだった。
お蓮はそこへ坐ったなり、茫然と犬....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
、凄壮そのもののような彼の姿に一種の威圧を感じたらしかった。が、これもすぐにまた
絶望的な勇気を振い起して、
「よし。」と噛《か》みつくように答えたと思うと、奮然....
「或る女」より 著者:有島武郎
で、
「糞《くそ》っ」
と後ろ向きになってつぶやく倉地の声が最後の宣告のように
絶望的に低く部屋の中に響いた。
倉地から離れた葉子はさながら母から離れた赤子の....
「或る女」より 著者:有島武郎
いた。
生まれかわらなければ回復しようのないような自分の越し方《かた》行く末が
絶望的にはっきりと葉子の心を寒く引き締めていた。
それでも三人が十六畳に床を敷....
「片信」より 著者:有島武郎
て今日まで過ごしてきたので不幸にもプロレタリアの生活思想に同化することにほとんど
絶望的な困難を感ずる。生活や思想にはある程度まで近づくことができるとしても、その....
「時代閉塞の現状」より 著者:石川啄木
をもって見るごとく、強権の存在に対してもまたまったく没交渉なのである――それだけ
絶望的なのである。 かくて魚住氏のいわゆる共通の怨敵《おんてき》が実際において....
「国際殺人団の崩壊」より 著者:海野十三
と叫びながら、扉を滅多うちに叩きつけた。暗黒の室内のあちらこちらでは、獣のような
絶望的な叫び声が起り、うんうんと呻吟する声がだんだん高くなって行った。室外では、....
「怪星ガン」より 著者:海野十三
ゆる爆発力をあつめて、あの天蓋にぶつけても、天蓋はけっして壊れないであろうという
絶望的な計算がでたのである。 みんなは、がっかりした。
絶望的計算に全力をふるっ....
「火星探険」より 著者:海野十三
とき、別の部屋の扉が開いて、別の青年がとび出して来た。そしてマートンを見るなり、
絶望的な声を出して叫んだ。 「遂に失敗だ。この宇宙艇は地球へ引返すことを断念しな....
「転機」より 著者:伊藤野枝
私の望むような、批判的な考えの方には導かないで、何となく物悲しい寂しさをもって、
絶望的なその村民達の惨めな生活を想像させるのであった。私の心は果てしもなく拡がる....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
みも残らずになくなっていた。僕は到底眠らずに苦しみつづけるのに堪えなかった。が、
絶望的な勇気を生じ、珈琲を持って来て貰った上、死にもの狂いにペンを動かすことにし....
「私の活動写真傍観史」より 著者:伊丹万作
ないかという心配で私の胸は締めつけられるようであつた。そして遂に終りの時がくると
絶望的な深い寂しさを感じた。 神戸で見た活動写真の記憶は以上で尽きる。 八歳....
「寡婦」より 著者:秋田滋
のながい束を一つ貰ったのです。そ、それが――これなのです」 そう云って、老嬢は
絶望的な身振りをして、わなわな顫える手を前にさし出した。 それから幾度も幾度も....