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絹針
「絹針〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
絹針の前後の文節・文章を表示しています。該当する7件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
りまして、舶来のトランクでも楽に通ります。その他|木綿《もめん》針、メリケン針、
絹針、刺繍針、合わせて三十本で僅か二十銭……これだけあればどんな縫い物でも出来ま....
「農村」より 著者:宮本百合子
れる様である。 雪降りの日の様に見えるかぎりは真白で散り敷いた落葉の裏表からは
絹針より細く鋭い霜の針がすき間もなく立って居る。その痛いように見える落葉をつまむ....
「お女郎蜘蛛」より 著者:宮本百合子
出して居る手の指先に何かが光って居る。歩く足をゆるめるとそれが紫の糸の通って居る
絹針だと云う事とその先に一寸曇って血のついて居るのが分った。それと一緒に自分を射....
「グースベリーの熟れる頃」より 著者:宮本百合子
ら人形の着物を縫って居た。 まっ赤な地へ白で大きな模様の出て居る縮緬の布は細い
絹針の光る毎に一針一針と縫い合わせられて行くのを、飼い猫のあごの下を無意識にこす....
「肉体」より 著者:豊島与志雄
ということなしに立上ったりしました。窓からすかしてみると、深い霧の夜で、空気には
絹針のような秋の冷えが感ぜられます。もう夜明け近いのでしょう。私はトキエを少し眠....
「春」より 著者:岡本かの子
児のように障子の桟を臆病らしくのろのろ這って居た。京子はお民の針差から細い一本の
絹針を抜いた。蠅の背中へ京子は針をしゅっと刺した。小さな蠅は花粉のような頭をしば....
「新古細句銀座通」より 著者:岸田劉生
私はこの男がきらいであった。しかしこれも今はなつかしい。 「おバあさんが夜なべに
絹針ときたら行灯の前で」とかなしげに唱えて、「親孝行のおみやげはこれが一番」と針....