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網目
「網目〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
網目の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「冬の日」より 著者:梶井基次郎
明な水のなかで鼠は左右に金網を伝い、それは空気のなかでのように見えた。やがて鼠は
網目の一つへ鼻を突っ込んだまま動かなくなった。白い泡が鼠の口から最後に泛《うか》....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
やりとお燈明が二つともっているのです。戸もまた板戸ではなく網戸なのです。のぞけば
網目を通して、おぼろげながらも中の様子が見られたが、しかし、うっかりのぞいたらこ....
「蠅男」より 著者:海野十三
模様の細かい方が、今屍体を吊りあげている綱の痕だ。もう一方の模様の荒いハッキリと
網目の見える方の綱が室内のどこにも見当らないんだ」 帆村は検事の指す血痕をじっ....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
と思っているだろう。第一、石階には番人がいるし……そこを逃げても、マコンデ方面は
網目のようだからな」 こうした気味の悪い独語が杜絶えると、闇の鬼気が、死の刻が....
「梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
た。 ◇ 翁はよく網打ちに行った。それも目堰網といって一番
網目の小さい網をセッセと自分で繕って、那珂川の砂洲を渡り歩いたものであった。 ....
「浮世絵の曲線」より 著者:寺田寅彦
である。西洋人の書いた、浮世絵に関する若干の書物のさし絵、それも大部分は安っぽい
網目版の複製について、多少の観察をしたのと、展覧会や収集家のうちで少数の本物を少....
「映画芸術」より 著者:寺田寅彦
た他のたくさんの具象の根と連結されている。かようにして天地間の万象は複雑きわまる
網目によって無限多義的に連関している。甲から乙に移る連絡道路だけでも無限に多数に....
「軍用鼠」より 著者:海野十三
ドの仕掛けは分ったものだとワイトマンは得意だった。網の外に貼った木は中空であって
網目より小さい孔があり、それに木の栓をかってあったのだった。八匹の仔鼠は、ミミー....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
の横腹を以て広い部分を一抹する事もよろしい。鉛筆画と違って、調子を作るために線の
網目や並行の斜線を使用する必要がない。ぼかすためには指頭を以て木炭で描いた上を摺....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
版の種類についても考える必要があると思う。目下の、日本の新聞紙の紙質では、どうも
網目版がうまく鮮明に現れにくい。絵を線描のみでなく淡墨を以て調子づけたりする事も....
「浅草紙」より 著者:寺田寅彦
びそれをたどって見るようはなかった。私はただ漠然と日常の世界に張り渡された因果の
網目の限りもない複雑さを思い浮べるに過ぎなかった。 あらゆる方面から来る材料が....
「キド効果」より 著者:海野十三
脅迫し相当大ぴらに行動していた。それは、この怪しからぬ一味が、当局の厳しい取締の
網目をすりぬけて此処満洲を堂々と貸切列車で押し進んでいっているということから考え....
「ワーニャ伯父さん」より 著者:神西清
森をあらわしたもので、このとおり総面積の半ばを占めています。緑いろのところに赤い
網目がついているのは、大鹿や山羊の棲んでいた場所です。……この図面には、動物ばか....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
網の目である。それは小さなものではあるが、網を拵え上げている上からは大事な一つの
網目であります。ここの呼吸を説明しているのが華厳経という経の主旨で、この宇宙一杯....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
は無かった。太い根曲り竹の藪が深山榛や樺の類を犇と抱きすくめて、絡み合った小枝が
網目よりも細かい。矢でも鉄砲でも来いとはこのこった。そこへ人間がぶつかったのだか....