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網膜
「網膜〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
網膜の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
音となって、じっと動かない中にも力ある震動をしながら、葉子の眼睛《ひとみ》の奥を
網膜まで見とおすほどぎゅっと見すえていた。「なんで事務長や田川夫人なんぞがこんな....
「階段」より 著者:海野十三
体には飢えた「彼奴」が跳梁することが感ぜられ、それとともに、あの若き婦人の肢体が
網膜の奥に灼きつけられたようにいつまでも消えなかった。 2 翌年の春....
「西湖の屍人」より 著者:海野十三
はそれをぼんやりと見送っているような顔付をしていたが、その実、彼の全身の神経は、
網膜の裏から、機関銃を離れた銃丸のように、両人目懸けて落下していたのだった。 ....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
「それでは、観測やめィ」 照準手と、測合手とは、対眼鏡から、始めて眼を離した。
網膜の底には、赤く〇と書かれた目盛が、いつまでも消えなかった。少尉はスタスタと、....
「赤外線男」より 著者:海野十三
紫外線も赤外線も、同じ光線でありながら、普通、人間の眼には感じない。つまり人間の
網膜にある視神経は、紫から赤までの色を認識することが出来るが、紫外線や赤外線は見....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
附イタコトデアルガ、イツノ間ニカ左眼ガワルクナッテイルノダ。黒点ガ見エ、強イ光デ
網膜ガヤケタトキノ感ジガアリ、且ツチラチラト電線ノ雑音ミタイナモノガ盛ンニ動クノ....
「海底大陸」より 著者:海野十三
がつかないのだ。 ぴしりッ! ついに目の上を、ひどく打たれた。 クーパーの
網膜に、キラ、キラ、キラと星が散った。そして急にあたりがぼーっと見えなくなった。....
「地球盗難」より 著者:海野十三
、こわごわ半身を起した。そしてソッと眼を開いてみた。 あまりの強い閃光のため、
網膜はいまだに何だかキラキラとしていて、前方がよくは見えなかった。ポロポロとひっ....
「英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
大爆弾が、釣瓶打ちに投下され、天地も崩れんばかりの爆音が、耳を聞えなくし、そして
網膜の底を焼いた。 砲撃は、ますます熾烈さを加え、これに応酬するかのように、イ....
「宇宙戦隊」より 著者:海野十三
目にもとまらぬほど速く動き、あるいは回転し、あるいはまた震動するものが、人間の
網膜にうつらないということはほんとうだ。帆村がいうのには、「魔の空間」というもの....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
。すると僕の※の裏に銀色の羽根を鱗のように畳んだ翼が一つ見えはじめた。それは実際
網膜の上にはっきりと映っているものだった。僕は目をあいて天井を見上げ、勿論何も天....
「作画について」より 著者:上村松園
ら五十年の歳月が経っていますが、今でも眼を閉じると、そんな母の姿がありありと私の
網膜に映じて消ゆることがありません。 私の第四回文展出品作「夕暮」は、徳川期の....
「キド効果」より 著者:海野十三
対して申訳ない――申訳ないらしい)と丘助手は一生懸命に理解しようと、三曲線をその
網膜に送りこんでいる。(容疑者の烏山と磯谷と犬塚――すると、これは三人の容疑者に....
「春」より 著者:岡本かの子
た京子の外界に向く眼は、空洞のように表庭に面した窓に直面した。するとその眼の底の
網膜には、外界との境の壁や窓ガラスを除外して直接表庭の敷石の上に此方を向いて佇立....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
離れてしまって、たまに鼠にさえ見限られた古家の雨戸を繰っている姿を見ても、単なる
網膜の一刺激にも値しなくなってしまった。 二十年の月日が経過した。ある日、旅先....