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綿ネル
「綿ネル〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
綿ネルの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「島原心中」より 著者:菊池寛
すがに、女の死体は、蒲団の上に、真っすぐに寝かされていました。よれよれに垢じみた
綿ネルらしい寝衣を、剥ぎ取られた姿は、前よりももっとみじめな浅ましいものでした。....
「新世帯」より 著者:徳田秋声
な顔をして、古い二重廻しを着ていた。兄は菱なりのような顔の口の大きい男で、これも
綿ネルのシャツなど着て、土くさい様子をしていた。横向きであったので、新吉は女の顔....
「氷蔵の二階」より 著者:宮本百合子
鉢のがさがさに荒れたのが、戸棚の前にぽつねんとあった。出がけに脱いで行った志野の
綿ネルの寝間着が、衣紋竹に吊下っている。琴一面あるだけで、やっと住んでいるのが女....
「一九三二年の春」より 著者:宮本百合子
じかに床に坐っているので冷える。ヤスが和服と暖い下着をさし入れてくれたのを着て、
綿ネルの襤褸《ぼろ》になった寝間着を畳んだものの上に坐っている。留置場へ入れられ....
「眼を開く」より 著者:夢野久作
スリ直して見直した。 忠平の死骸はモウ雪の中から引ずり出されていた。古びた赤縞
綿ネルの布片の頬冠りから、眼と口をシッカリと閉じたしかめ顔から、剥げチョロケた紺....
「継子」より 著者:夢野久作
。 屋根裏の窓に引っかかっている春の夜の黄色い片割月を見上げながら、洗い晒しの
綿ネルの単衣一枚に細帯を一つ締めて、三階の物置の片隅に敷いてある薄ッペラな寝床か....
「夏目漱石先生の追憶」より 著者:寺田寅彦
言われるようなこともあった。服装については自分は先生からは落第点をもらっていた。
綿ネルの下着が袖口から二寸もはみ出しているのが、いつも先生から笑われる種であった....
「上林からの手紙」より 著者:宮本百合子
して松の樹の下を掃いたりしている。 参詣人の大群は、日和下駄をはき、真新しい白
綿ネルの腰巻きをはためかせ、従順にかたまって動いているが、あの夥しい顔、顔が一つ....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
に遺家族のマークをつけた若い女のひとなどが、式服の白羽二重の裾からいきなり桃色の
綿ネルを出して上ずった眼付で歩いているのに沢山出会いました。機嫌のよくない表情で....
「贋物」より 著者:葛西善蔵
ていた。が乗客はまだいずれも雪国らしいぎょうさんな風姿をしている。藁沓を履いて、
綿ネルの布切で首から頭から包んだり、綿の厚くはいった紺の雪袴を穿いたり――女も―....
「手仕事の日本」より 著者:柳宗悦
いありません。しかし今はその面影がないほど工業の地となってしまいました。捺染物や
綿ネルやまた家具の如きも、産額は大きなものでありますが商品に止るというだけであり....